県央地区環境保全協議会(長谷川直会長)は3日、三条市・餞心亭おゝ乃で総会に続いて記念講演会を開き、南魚沼市の旅館をリノベーションしたライフスタイル提案型の宿「里山十帖(さとやまじゅうじょう)」のオーナーで株式会社自由人代表、クリエイティブディレクターの岩佐十良(いわさ・とおる)氏の講演を聴いた。
同協議会は、積極的に環境保全活動に参加し、快適で安全な生活環境を確保し、環境への負荷の少ない社会構築を目指すことを目的に1996年に設立した任意団体。現在、県央地域の約110事業所が会員となっている。
講師の岩佐氏は1967年、東京・池袋生まれ。武蔵野美術大学でインテリアデザインを専攻し、在学中に株式会社自由人を創業。2000年に雑誌「自遊人」を創刊し、02年に雑誌と連動した食品のネット販売を始めた。04年に活動拠点を東京・日本橋から新潟・南魚沼に移し、09年にドキュメント番組『情熱大陸』出演。10年農業生産法人自遊人ファーム設立、代表取締役となった。
12年に南魚沼市・大沢山温泉の旅館「高七城」のフルリノベーションに着手し、14年に新たなライフスタイル発信メディアとしてて「里山十帖」をオープン。ディレクター、キュレーターとしても活動し、『里山を創生する「デザイン的思考」』(KADOKAWA)など著書も多く、行政が召集する委員も数多く務める。
記念講演会では、「里山十帖〜なす(茄子)で1泊2食三万円!?新潟の隠れ資産〜」のテーマで約50人が聴講した。新潟は「観光にものすごく潜在的な能力をもっている」とする岩佐氏の考えにうなずいたり、メモを取ったりして聴いた。
岩佐氏は、平均稼働率83%の「里山十帖」を紹介しながら、新潟の豊かな自然や食など、住んでいる人にとっては当たり前で気づかないことを魅力として話した。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」にもふれ、新潟が「和食日本一を名乗りを上げないのはおかしい」と指摘。盛り上がっているのは京都などで、新潟の盛り上がりはゼロ。“日本料理”ではなく“和食”が登録されたのは、風土に密着した食文化のこととし、さまざまな角度からヒントを投げかけた。