三条市・諸橋轍次記念館は6日、「諸橋轍次(もろはし・てつじ)博士の日」を記念して同記念館で中国駐新潟総領事館の何平(か・へい)総領事を講師に記念講演会を開くとともに、この日から8月30日まで開いている特別展示「諸橋博士の秘密〜座右の銘と名前」のテープカットを行った。
「大漢和辞典」を編さんし、文化勲章受章、三条市名誉市民の漢学者、諸橋博士(1883-1982)の誕生日は6月4日。同記念館はその日を「諸橋轍次博士の日」として近い日に記念事業として講演、ビデオ上映、絵本の読み聞かせなどを行っている。今回もその一環で翌7日に行った佐藤海山同記念館指導員の講演とあわせて2日間、記念講演会を開いた。
6日の何平総領事の記念講演会には、約80人が来場した。何平氏は前任の王華総領事に続いてことし2月28日に総領事に就任した。王華前総領事も同記念館で講演している。何平総領事は「日本語を学んだ頃の思い出から」をテーマに予定より長く1時間半近くにわたって講演した。
何平総領事は大漢和辞典で日本語を学んだことはもちろん、中国でも大人気になった高倉健主演映画『君よ憤怒の河を渉れ』や「中国では非常に人気のある」と評した山口百恵と三浦友和が出演したドラマ『赤い疑惑』などで日本文化にふれ、ドラマ『おしん』で「日本の女性の勤勉さを学んだ」と率直に話した。
日本人との交流が進むにつれて日本人の礼儀正しさ、仕事に対する熱心な態度、日本独特の島国の態度、中国人として評価する姿勢が生まれた。日本と違って中国では“湯”はスープ、“麻雀”はスズメの意味で、“手紙”はトイレットペーパー、“切手”は手を切ることなども話した。
日本の伊勢神宮と出雲大社の違いにもふれ、戦争に対する鎮魂のほうから見れば、中国と韓国は日本の数倍以上の犠牲者を出したので、これらの魂をまつることも必要で、靖国神社の問題なども指摘した。
最後に中日間で解決していかなければならない問題として、A級戦犯の合祀を含む靖国参拝の問題など歴史の問題に対処すること、両国の国民間の正確な認識を深め、民意の要望をかためること、そして文化の交流を大事にすることをあげた。
このあと特別展示のテープカットを行った。常設展のなかに22点の特別展示を行っている。諸橋博士の座右の銘といえば「行不由徑」。同記念館はこれまで諸橋博士が書いた「行不由徑」を所蔵していなかったが、このたび巻工業高校(今の巻総合高校)が保存していたものの寄付を受け、同記念館で初めての諸橋博士の「行不由徑」の収蔵品となった。