東京五輪を地方の活性化、地方創生につなげる首長連合が三条市長を会長、燕市長を副会長に設立 (2015.6.11)

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2020年の東京オリンピック・パラリンピックを東京のひとり勝ちではなく地方の活性化、地方創生につなげようと国定勇人三条市長が全国の市町村長に呼びかけた地域活性化首長連合の設立総会が10日開かれた。全国1,742市町村のうち310市町村長が参加し、設立総会には約170人、うち本人出席が約110人した。会長には国定市長、副会長には鈴木力燕市長が就任。三条市に事務局を置き、全国の首長が参画する組織でそれぞれ人口10万人足らずの三条、燕両市長がけん引役を務める。

東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合総会
東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合総会

同じの日の午前、都内で開かれた全国市長会議にあわせ、午後2時から東京都千代田区・日本都市センターで総会を開いた。議事は原案通り決め、役員人事は国定市長を会長、三重県菰野町の石原正敬町長を会長代行とし、副会長には鈴木市長をはじめ8人の首長を決めた。

運営規約では、正会員と情報共有だけの賛助会員の2種類の会員をもうけ、正会員は負担金が必要で、政令指定都市年額50万円、中核市同30万円、その他の市町村10万円とした。

今後の取り組みについては、全正会員が参加する全体企画とシンクタンク、情報発信機能の共通部会と、その下にローカル版クールジャパン、観光振興、組織委セールス、人材育成の4つの部会を置き、来年度から全力疾走できれるよう体制を整える。

会長に就任した国定三条市長
会長に就任した国定三条市長

事務局は三条市におくが、民間企業からの協力も仰ぎ、企業への委託へも含めて柔軟に運営していく。

冒頭、国定市長が設立趣旨説明を行った。国定市長は「開催の年にインバウンド(外国からの観光)が急激に増加するのではなく、開催が決まったそのときから世界の耳目を浴び、現実に開催都市ではインバウンドの増加がみてとれる。東京オリパラもまったく同じと思う」と過去の五輪開催地のインバウンド増加のデータを示して説明した。

「よく言われるのは東京ひとり勝ちになってしまうのではないか、むしろそうさせてはならない」のがいちばんの設立趣旨で、「東京だけが勝つのではなく、東京もわれわれ地方も、ともにこの東京オリパラを契機として地域活性化を手に入れていきたい」。

とくに前回のロンドン五輪での地方をあげた取り組みを手本とし、「結果として全土でオリパラ誘致の恩恵の果実を得ることができた。ロンドンにできてわれわれ日本にできないことはない」と自信を見せた。

副会長に就任してあいさつする鈴木燕市長
副会長に就任してあいさつする鈴木燕市長

具体的には産業振興、観光振興が主体になると思われるが、「この首長連合を単なる要望団体、提言団体に位置付けたくはない。われわれ市町村が具体の果実を手に入れる。そのためにはわれわれ市町村が現実の活動を自ら汗をかいて展開をしていく。これが首長連合のいちばん大切な基本ルールだと思っている」とし、「どうか皆さまがたと2020年までともに手と手を携えながら日本全体を結果として盛り立てる、そんな運動を展開してまいりたい」と願った。

あわせて「しっかりとした黒子役がございます」と昨年末、経済産業省関東経済産業局の安藤久佳局長から知恵を授かったことを明かし、「素晴らしいアイデアに心から感謝を申し上げたい」と話しすと大きな拍手がわいた。

来賓あいさつで内閣府の平将明副大臣は、東京五輪は「わが国にとっては最大のチャンスと思う。東京を世界に向けたショールームとして日本の最先端技術や環境に対する取り組み、伝統文化の発信、さらにはクールジャパンなどの発信をしっかりしていきたい」。

内閣府の平将明副大臣が祝辞
内閣府の平将明副大臣が祝辞

「地域が受け継ぐ伝統文化、工芸品、食などの発信やイベントの開催で「世界の人たちを各地域に引き寄せていただくのは極めて重要」で、「チャンスととらえて戦略的、効果的に皆さまがたが知恵を出し、力を結集して実践をしていく。そしてこの連合には300を超える市町村が参加している。われわれとしても頼もしく感じている」と期待した。

情報発信も重要になるが、ここ数年で大きく環境が変わり、昔は海外のへの発信は大きな費用がかかったが、今はSNSや動画サイトで価値のあるものは瞬時にして世界に発信され、伝播する。「今まで自分たちが価値と気づかなかったものが、実は外国の人からみたら価値であったといったこともたくさん事例として起きている。ぜひ2020年という機会、またインターネットを通じた環境の変化をとらえて地方創生に役立てていただきたい」と求めるとともに、経産省が開発した地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」のビッグデータ活用を勧めた。

このほか関係省庁からの情報提供があり、出席者からの質問では、ホームタウン制度に登録している自治体や事前キャンプに名乗りを上げて動いている自治体は同じ趣旨と思うので声かけして輪を大きくしてほしい、JR各社のクーポン券が共通して使えるようにしてほしいといった意見があった。

囲み取材を受ける国定市長
囲み取材を受ける国定市長

総会後、国定市長は取材にこたえた。スポーツそのものよりおもてなしや気運醸成を図る、果実を得るという意味で「オリパラど真ん中の展開をされている各種団体の皆さんとは、そういう意味ではバッティングすることなく、お互いにいい連携が図れると思うし、大いに期待したい」。

先に泉田知事が机上の議論だけでにとどまらない取り組みを求めたことについては「都道府県レベルで展開されることも大いに結構だし、それぞれのレイヤーが一生懸命、汗をかくことで全体のとしてもてなしの気運が高まれば結果としてハッピー」。

毎年秋に行われている燕三条地域の工場を見学する「燕三条 工場の祭典」につていは「インバウンドとしてはひとつ有力な受け皿になる」、県外、海外からの集客もあり、「ここにオリパラというひとつのブランドが付加されることによってわれわれが想像することのできなかったような展開が期待できるのでは」と話した。役員は次の通り。敬称略。

役職 首長名 自治体名
会長 国定勇人 新潟県三条市
会長代行 石原正敬 三重県菰野町
副会長 青山剛 北海道室蘭市
立谷秀清 福島県相馬市
古口達也 栃木県茂木町
鈴木力 新潟県燕市
田中幹夫 富山県南砺市
末松則子 三重県鈴鹿市
阪口伸六 大阪府高石市
谷口太一郎 佐賀県嬉野市

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