手作りおもちゃで子どもたちから遊んでもらっている弥彦村の団体「やひこおもちゃポケット」(田辺澄子会長・会員11人)は12日、完成したばかりの布で作った紙芝居ならぬ“布芝居”「一本のわら」のお披露目会を開いた。
「やひこおもちゃポケット」が作った布芝居はこれで17作目。これまでにお母さんが佐渡に流された場面のある「安寿と厨子王(あんじゅとずしおう)」や越後の禅僧良寛、燕市に生まれたとされる酒呑童子(しゅてんどうじ)など地元にゆかりのある物語をはじめ、「浦島太郎」、「白雪姫」、「親指姫」など昔話や童話、物語を布芝居にした。
縦50センチ、横70センチの布に絵柄を縫い付ける。上辺にタケ棒を刺して下げられるようになっている。多いものでは20枚近くも作る。お披露目会は「きらめきの丘 作業工房」=弥彦村矢作=で開き、会員11人全員が集まって初見で物語りを読み、みんなで鑑賞した。
「やひこおもちゃポケット」は1991年に発足。畑で働く人が多く、冬仕事のようなイメージで始まった。主に布を使ったおもちゃを手作りして貸し出したり、月に1度、弥彦村子育て支援センターに出向いて子どもたちと一緒におもちゃで遊んだり。2011年には日本おもちゃ図書館財団から20年の永年活動で表彰も受けた。
おもちゃづくりの活動は第2、第4金曜の月2回、「きらめきの丘 作業工房」に集まって行う。午前9時から午後3時ころまで、1日たっぷりと過ごす。昼食はみんなで料理を持ち寄って食べる。
さまざまな布おもちゃを作るなかでも人気なのが布芝居。会員11人のうち男性はひとりだけで、最も若い人が73歳。原画を描くのは、会員のなかで最高齢の本多奎子さんで、なんと大正13年生まれの91歳。地元弥彦中学校には17年間勤務した元教諭で、昼食の支度も率先して行う若さに驚かされる。
布芝居はみんなで手分けして作るが、家に持ち帰って作ることもあり、それでもひとつ作るのに3、4カ月もかかる大仕事だ。東日本大震災が発生した2011年は、福島の被災地に「金太郎」の布芝居を寄付した。それを見た岩手県の学生が感動し、NGOが間に入って岩手県にも4作品を貸した。
会員は「いろんな人から頼まれ、必要とされるから」と、おもちゃづくりをまったく苦にしないどころか、「作業工房に集まる前の日からわくわくしている」。「こうやってみんなと一緒に仕事ができるのがいちばん楽しい」、「みんなで力を合わせないとできない」と、それぞれの心身の健康に大きく貢献しているのは間違いない。
ただ、会員の高齢化が進んで年々、人数が減っており、新会員も募集中だ。興味のある人や問い合わせは田辺会長(電話:0256-94-5205)へ。