田上町・湯田上温泉の旧温泉街を舞台にアート作品やコレクションを展示する初めての「湯のまち巡り〜軒先アートギャラリー」が20日から7月20日までの1カ月間、開かれている。イベントは7月4、5日に集中しており、初日は20日は静かにスタートした。
20日に始まった地元の護摩堂山で開かれる「あじさいまつり」の一環で開かれている。今の温泉街より山手にあった旧温泉街を中心に旅館だった建物や寺、空き家、営業している旅館や商店など25カ所に作品を展示する。
うち20日に作品の公開を始めたのは、いつでも外から見ることのできる3カ所を含む14カ所。主に営業中の旅館やホテルが公開を始めた。
護摩堂山登山口へ向かう県道沿いの「みき庵」では、20、21日と7月4、5日の4日間だけ公開している。旅館「かつみ荘」として建てられたもので、その後、まんじゅう屋「みき庵」となったが、数年前に閉店して今は旅館の倉庫に利用されている。
加茂市加茂新田、工房「どき土器」を主宰する石沢啓一さん(64)が作陶した一輪挿し、コーヒーカップ、茶わんなどをはじめ、地元作家によるエコクラフト、布小物、木工小物、粘土人形などを展示販売するとともに、羊毛フェルトのワークショップも行った。
初日で周知が行き届いていないこともあり、来客はまばらだったが、作者やイベントのボランティアスタッフはのんびりと談笑しながら客を待っていた。
その向かって左隣には「炭小屋」がある。東京でインテリアアートを手掛けていて、田上町に移り住んで18年目になる白倉昌枝さんが代表を務める。自宅にあるかまでタケはもちろん、草花まで炭にして“飾炭”と称して消臭の機能も兼ねてインテリアに炭を生かすことを提案している。
老人ホームににおい取りを兼ねて納品するのが主な仕事。今回のイベントには参加していないが、白倉さんがいるときは作品を見せてくれることもある。白倉さんは「炭の黒は日本人の黒。炭のパワーを暮らしに生かしてほしい」と言う。
石段を上がった先にある薬師堂では、今回のイベントの実行委員長で、NPO法人まちづくり学校理事、田上町議の自営業池井豊さん(52)=田上町羽生田=が新潟大学経済学部3年で地域交流サークルに所属する江川彬さんとふたりでタケを使ったオブジェのようなものを制作していた。どんな作品になるかは完成してのお楽しみだ。
旅館「初音」では、玄関を入ってすぐの左手のご利益グッズを展示している。大正13年生まれで90歳を過ぎた同旅館の創業者の乾初子(いぬい・はつね)さんが45年かけて集めたご利益グッズのコレクション約30点を展示。観音像や獅子頭などがあるが、来歴などはほとんどわからない。期間中にさらに展示物を増やす計画だ。
7月4、5日がイベントのメーンで、この2日間はほぼすべての展示場所が公開されるほか、メーン会場となる田上町コミュニティセンターでは七夕アートや音楽ライブも行われる。