三条市は28日、ことしも市内で水害対応総合防災訓練を行った。水害を連想させるような雨が降り続くなか、約2,500人が参加して11年前の7・13水害を教訓に策定した三条市水害対応マニュアルに基づいて訓練した。
平成16年、新潟・福島豪雨災害で五十嵐川の堤防が決壊した7・13水害の翌年から毎年、行っている訓練。消防を含む市職員、消防団、自治会・自主防災組織、民生委員、市民、県、三条署、ライフライン関係機関、介護サービス事業所など幅広い団体から約2,500人が参加。
これまでと同様に災害の発生時刻や場所、規模などを事前には知らせず、次々と発表される災害情報により、それぞれの水害対応マニュアルに沿った災害応援活動などを行うとともに、今回はタイムラインに応じた関係機関との対応訓練も初めて実施した。
風が強く、弱い雨が横なぐりで降る荒天のなかで訓練となり、天候不良で県の防災ヘリコプターは参加できなかった。訓練は避難準備情報や避難勧告の発令とともに、携帯電話のエリアメールの着信音や、行政防災無線による放送やサイレンが響いて始まり、訓練とわかっていても怖さを感じさせた。
市役所の災害対策本部会議では、道路の冠水や河川の越水、土砂崩れなどの被害状況、避難の状況、全消防団召集、排水ポンプ車配備など、次々と担当部長などが報告し、本部長の国定勇人市長が確認や指示を行った。
三条防災ステーションでは、消防職団員や防災活動協力事業所による応急救護所設置及び救助・水防訓練が行われた。ステーション内の信濃川左岸では水防訓練を行い、ボートによる救助訓練では、流れが速くて茶色に濁った水面が波立つ信濃川をエンジン付きのゴムボートなど2艇で六ノ町側の対岸に渡り、要救助者を救出した。
午前9時の気温は17.0度で、傘を差しても役に立たないくらいの雨風のなかで、消防団とともに防災活動協力事業所5社が参加。薄い雨具の参加者は、頭やずぼんびしょぬれになり、手がふやけたり、かじかんでくるような冷たさのなかで土のうづくりを体験した。
本番さながらの天候のなか、訓練の参加者をはじめ大勢の市民もそれぞれが、災害に対する気を引き締めた。