世界の土産用スプーンを集めて30年余りの松浦靖さん(79)=京都府京田辺市=の燕市産業史料館で2年ぶり4回目となる「世界のスプーンコレクション展 第4章 自然と動植物たちの世界」が3日から26日まで開かれている。
松浦さんが1981年から現在まで収集してきたスプーンは、世界118ヵ国・地域の3,000本。同史料館での展示は、2013年10月に「世界の歴史的建造物」のテーマで展示して以来2年ぶり4回目。今回は世界各国の美しい自然やその国のシンボルともいえる動物、植物がデザインされたスプーンを約300本を展示した。
会場では時計回りにアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの順に地域別に展示する。
“旅友”からもらったマダガスカルの木製スプーンは、柄の部分にマダガスカルの固有種のパンサーカメレオンが彫刻され、素材のカナボウの木もマダガスカル固有のもの。イギリスの木製のラブスプーンはウェールズ地方で男性がプロポーズするときに手作りして女性に渡したもので、コウノトリとハートがデザインされている。
オリーブの産地のチュニジアはオリーブの気で作ったスプーン、スロベニア共和国はポストイナ鍾乳洞に生息する類人魚とも言われるプロテウス・アンギヌス、熱帯アメリカの緋色コンゴウ・インコがデザインされたスプーンなど、スプーンから世界のさまざまな情報にふれることができる。
ケニア共和国のカンバ族の伝統工芸品の木製スプーンにはおもしろいエピソードがある。友人から譲り受けたコレクションで柄にゾウ、キリン、サイなどがデザインされている。今回の作品展の2週間前に松浦さんの地元の京都で開かれた骨とう市で、カンバ族が作った飾り用の大きなスプーンとフォークが売っていた。国内ではめったに入手できない希少なスプーンと出会い、しかも破格に安い値が付けてあり、迷わず購入。松浦さんの手に渡るのを待っていたかのようだ。
同史料館では4回目とあって、以前にも来場して松浦さんと顔なじみになっている人も多い。初日3日は「お久しぶりです」と松浦さんとの再会を喜び、松浦さんの解説を聞きながらコレクションを鑑賞していた。
日曜の5日は午後2時から作品解説会を開く。参加は無料だが入館料が必要。毎日午前9時から午後4時半まで開館、会期中の休館日は6日、13日、21日。入館料はおとな300円、子ども100円、土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人まで無料。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666、電子メール:sangyoshiryokan@city.tsubame.niigata.jp)へ。
ケニア共和国のカンバ族の伝統工芸品の木製スプーンは直前になって京都の骨とう市で入手した飾り用の大きなスプーンとフォークを入手した