三条市吉野屋、石動神社の夏季大祭の宵宮、11日に行われる花燈籠(はなとうろう)押しに向けて5日、吉野屋花燈籠講(宮島功講長)は地元の吉野屋フォーラムで花燈籠を製作した。
花燈籠の製作には、吉野屋花燈籠講の講員のうち30歳代を中心に十数人が参加。1.8×1.2メートルほどの木枠で作った台にサクラの造花を中心に色とりどりの造花を飾り、協賛企業名を書いた札を取り付けて2基の花燈籠を完成させた。
花燈籠押しの発祥は定かではないが、春蚕(はるご)の収穫を祝ってとも言われる。石動神社の春季大祭は、以前は固定した日に行われていたが、参加しやすいように毎年7月の第2日曜とし、深夜まで行われる花燈籠押しはその前日、宵宮の土曜に行っている。
花燈籠押しを運営するのは、吉野屋花燈籠講の講員。吉野屋の集落は約120世帯ある。そこに住む高校生から40歳までが自動的に講員となり、今は60人余り。実際に花燈籠押しに参加するのは半分ほどだ。
11日は日中から吉野屋フォーラムで子ども縁日を開き、午後6時に吉野屋フォーラムに講員が集合し、花燈籠を担いで集落を練り歩く。自治会長、副自治会長、講長の家の前では花燈籠を腰の高さに下げて激しくもむ。また、午後8時半から吉野屋フォーラムの向かいの田んぼでは8時半からスターマインも含む花火が上がる。
11時ころから石動神社に奉納する。石動神社は約400段の石段を上がった先にあり、石段の両脇に手作りした竹燈籠と街灯のように棒の先に取り付けた燈籠が足元を照らす。竹燈籠は今回、200個ほどを新たに作った。境内でも花燈籠をもみ、日付が変わるころにようやく終わる。
かつては7基もの花燈籠があり、見物客を乗せた観光バスが来るほどの人気だった。再び花燈籠押しを盛り上げていこうと取り組んでおり、2012年度は三条市の「地域の絆・結プロジェクト」の指定を受けた。
子どもたちにも参加している気持ちを味わってもらおうと、ことしはこの1週間前に小ぶりなちびっこ花燈籠も製作した。ろうそくを入れる台の部分に張る紙には、人気のアニメなどを描いて完成させた。
講長の会社員宮島功さん(37)は「次の日は体が動かなくなるくらいハードです」と笑う。「吉野屋の夏の伝統行事をいろんなところから見に来てもらって、若者の活気や一生懸命さを見てほしい」と話している。吉野屋花燈籠押しに関する問い合わせは宮島さん(電話:080-5487-6427)へ。