三条市吉野屋、石動神社の夏季大祭の宵宮11日、地元の吉野屋花燈籠講(宮島功講長)による恒例の花燈籠(はなとうろう)押しが行われ、ふだんは静かな夜の集落に花燈籠を担ぐ威勢のいいかけ声が響いた。
花燈籠押しの発祥は定かではないが、春蚕(はるご)の収穫を祝ってとも言われる。1.8×1.2メートルほどの木枠で作った台にサクラの造花を中心に色とりどりの造花を飾った花燈籠2基を製作。吉野屋花燈籠講の集落の高校生から40歳までの講員30人余りが参加し、花燈籠を担いで集落の約120世帯を練り歩いた。
途中で花燈籠をもみ、腰の下に持ち、「さっ!さっ!」とかけ声を合わせて反時計回りに回る。終盤は石動神社へ登る石段の下でもみ、さらに400段以上もある石段を登って石動神社の境内でもんだ。
ことしは初めてちびっこ花燈籠も製作して本番前に子どもたちから担いでもらった。午後8時半から恒例の花火の打ち上げも。集落のは家の前などに手作りの灯ろうがともり、石動神社の石段の両わきにも灯ろうが並び幻想的な雰囲気だ。
日中、三条は最高気温30.9度の真夏日だったが、夜が深まると半袖では肌寒いくらいに。青いはっぴを着た講員は、花燈籠をもむとみるみる汗がふきだし、心地いい涼しさだった。
石動神社境内では、最後の力をふりしぼってもんだ。繰り返し花燈籠をもんでなかなか終わりが見えない。「いーあんだか!」と、これで満足したのかとけしかけ、そう言われれば売り言葉に買い言葉で「まだーっや!」。祭りが終わる寂しさもあり、「きれいに回して終わろっや!」と終わらせたくないという気持ちも。
「あさって仕事らいっや!」という外野の声に笑いが起こることもあり、20分近くもんでようやく終了。最後に神事を行って終わった。日が変わるころに終わった。