三条市が下田地区、荒沢地内の築百年以上になる古民家をリノベーションした移住体験施設「NATURE LIFE SANJO-SHITADA(ナチュール ライフ 三条 しただ)」が10日、オープンした。
オープン初日は午後4時から同施設で内覧会とレセプションパーティーを開き、関係者や地域の人たちなど数十人が参加。同施設を運営する株式会社デン・オリエンタル・リレーションズ=新潟市中央区水道町1=の田辺裕之代表取締役が施設を紹介するとともに、同社が中央から招いた山岸一茂シェフによる下田野菜を使ったオリジナル創作料理をふるまった。
同施設は目黒栗園を営んでいた目黒邸を活用した。木造瓦ぶき2階建てで1階265平方メートル、2階55平方メートル。2階は主に物置に使うので、利用できるのは原則として1階部分になる。利用料金は施設利用料に利用人数料金を加えたものとなり、利用時間は1時間ごとの利用と日をまたぐ利用がある。
施設利用料 (基本料金) |
利用人数料金 (1名ごと) |
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利用時間 | 利用時間帯 | 一般 | 三条市民 | 一般 | 三条市民 | ||
日〜金曜 | 土曜 | 日〜金曜 | 土曜 | ||||
1時間ごと | 9時-20時の間 | 800円 | 1,000円 | 700円 | 900円 | 200円 | 150円 |
20時間 | 15時-翌11時 | 6,000円 | 8,000円 | 5,000円 | 7,000円 | 2,000円 | 1,500円 |
三条市民は割安になり、例えば日曜から金曜の間に三条市民2人が1時間、利用する場合は施設利用料700円、利用人数料金300円の計1,000円になる。同じく日をまたいだ2日間、20時間の利用なら、施設利用料5,000円、利用人数料金3,000円の計8,000円になる。
同施設は、移住を希望する人に“しただ郷”の魅力ある大自然や地域の生活文化を通じて「田舎暮らし」を体感してもらうほか、地域資源を生かしたさまざまな体感プログラムや文化・学習の場として活用しようと開設した。あまり用途を限定せずに貸し古民家、貸しコテージ、合宿やイベントの会場などにも広く利用してもらう。
運営を委託されたデン・オリエンタル・リレーションズは2013年設立。ホテルや結婚式場の開発、運営、コンサルなどを行っており、国内ではまだ数少ないフリーのホテルオペレーター会社でもある。
田辺代表取締役は、近所へあいさつ回りにも出向いており、「会社では足りないところを地元の人との協力で多様性に対応できる仕事をしたい」、「施設を活用したイベントも行っていろいろな活用方法を提案していきたい」と言う。
内覧会には、この家で生まれ育った原正利さん(68)=三条市芹山=も出席した。原さんは6人きょうだいの四男で、ほかに3人のきょうだいも出席した。はっきりとはわからないが、きょうだいの話によるとこの家は築百年以上になるという。
家の活用については、原さんが窓口となって三条市と交渉を進めた。家は親族2人が暮らしていたが、業者に屋根の雪下ろしの委託に毎年数十万円もかかり、移住を検討していた。そこへ三条市から話があり、渡りに舟だった。
それでも「複雑な気持ちです」と原さん。「自分の生まれたところに実家があって、盆暮れにきょうだいがみんな集まってわいわいしたい気持ちがある。自分の実家でなくなるから、寂しい気持ち」。
一方で「こういうのがなければ空き家になって村の人に迷惑がかかった。そうなる前に管理してもらえるのはありがたい」と感謝。実家が営んでいた観光栗園は廃業して5年以上になる。最盛期は観光バスが訪れるほど人気を集めた。「栗園のシーズンになるときょうだいみんなで手伝いに来ていた」と当時を懐かしんでいた。施設に関する問い合わせは電話「025-228-7611」へ。