藤寅工業株式会社から1日に社名変更した藤次郎株式会社(藤田進社長・燕市物流センター1)は、21日に創業50周年を記念した「藤次郎ナイフギャラリー」をオープンするのを前に16、17の2日間、内覧会を開いている。
2008年に開設した藤次郎刃物工房=燕市吉田東栄町=の敷地内に建設したギャラリーで、3階建てで建築面積153平方メートル。1階は同社が製造する包丁シリーズを中心に輸出専用アイテムを含む約800アイテムを陳列したショールーム。同社では初めての実店舗での小売を行うほか、包丁の研ぎ直しや名入れれなどのメンテナンスもできる。
2階は厨房設備を備える。調理台は講師用の1台だけだが、間もなく2台を増設する計画で、料理教室を開ける。3階は最大50人ほどを収容できるセミナールームで、講座や会合を開くことができ、包丁の紹介に限らずさまざまイベントスペースに利用できる複合施設として消費者やシェフ、料理研究家のイベント、業者の商談などさまざまな客を迎える。
隣りの藤次郎刃物工房では、鍛接による鋼付けの打ち刃物の製造を行っている。オープンファクトリーとしていつでも見学できるように整備する。ことしで3年目の燕三条地域の工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」にことしは初参加し、それまでに工場見学できるようにするほか、包丁の研ぎ方講座や魚のさばき方講座を開く予定だ。
営業時間は午前10時から午後6時まで、定休日は当面は日曜、祝日を予定しているが、利用状況などを見て変更する場合がある。
16日午後に内覧会に訪れた鈴木力燕市長は「燕市には本格的な産業観光に対応した施設が少なく、その点で期待している。見るだけでも楽しく、このギャラリーを生かした観光ルートづくりを職員に指示した」と話した。
同社の純国産の包丁「藤次郎ブランド」は、世界のマーケットに供給され、ブランドとしての地位を確立している。工場の見学を希望する問屋や料理学校の先生は多い。本社と工場が離れていて商談にも不便。一方で燕三条地域のものづくりが注目されており、ブランドの発信基地になれないかと、創業50周年記念とあわせてギャラリーを建設した。
情報発信がうまいメーカーもあり、いずれは東京進出を果たし、正しい包丁の使い方を発信したいという夢がある。刃物メーカーでこれだけの規模の大きなショールームはほかに例がなく、刃物メーカーとして先べんをつかえられればという思いもある。
藤田社長は「地元のキッチンツールを使って料理教室をやったり、包丁だけにとどまらず地域とコラボレーションして、産業観光につながる取り組みをしたい」。また、弥彦へ続く県道29号吉田弥彦線に面していることもあり、弥彦観光とからめたギャラリーの活用にも期待している。