26日に長野県松本市で開かれたJOCジュニアオリンピックカップ第8回全日本ジュニアテコンドー選手権で、三条市内の2人の選手が優勝。ひとつのまちから2人も優勝者が出るのは珍しい。2人は世界への扉を開く切符を手にするとともに、2020年の東京五輪出場に一段と期待が高まっている。
優勝した三条市内に住む2人は、高校生男子51kg級(出場3人)出場の新潟市中央区・開志学園高校空手テコンドー専攻科の2年生、猪飼怜央(れお)さん(16)と、中学生女子44kg級(同8人)出場の三条市・大崎中学校の2年生、西潟星来(せいら)さん(13)。大会は全日本テコンドー協会が主催し、全国からの出場選手が中学生と高校生に分かれ、さらに男女別、体重別の計22の階級で競った。
優勝したことで世界テコンドー選手権大会日本代表選考評価会を兼ねた来年の全日本テコンドー選手権大会の出場権を獲得。アジアジュニア選手権や世界ジュニア選手権の選考会出場の条件のひとつをクリアしたことにもなり、2人を指導する士衛塾(木村越山総裁)総本部統括長の新潟市江南区・本間政章さん(46)は「世界への扉を開く切符はとった」と今回、優勝したことの意味の大きさを話す。
本間さんは10年前に国際空手拳法道「士衛塾」の三条支部を開設し、三条市内で空手教室を始めた。優勝した2人はいずれもその1期生で、当時は小学校1年生と3歳。猪飼さんは大崎中学校1年生でテコンドーを始め、それから空手は基礎練習だけで大会には出場しなくなった。
西潟さんは昨年4月から空手とあわせてテコンドーも学んでおり、空手でも昨年12月にロシアで行われた世界大会で2位となり、ことしは5月の極真館の全日本青少年空手道選手権大会でも優勝。また、2人そろってことし2月には日韓ジュニアスポーツ交流事業の日本代表派遣選手となっている。
今大会で猪飼さんは、昨年の48kg級からことしは51kg級に階級を上げながら昨年に続いての優勝。昨年、優勝しているため対戦相手に戦い方を研究され、「対策をされてやりづらかった。去年と違う緊張感もあった」と言う。ことし3月の年齢に関係なくおとなと一緒の階級で戦う全日本テコンドー選手権大会では、1回戦で敗れた。来年の大会では「入賞すること。負けたけど、対戦相手が結局、優勝したので、自分の力を知るうえでも対戦できて良かった」。
西潟さんは昨年はこの大会ではベスト8にとどまった。今年度、「さんじょう一番星育成事業」の補助を受けたが、補助対象を決める審査でこの大会で優勝を目指すとしただけに、有言実行。「全日本ジュニアテコンドー選手権がとれるように頑張りたい」と話した。
指導者の本間さんは、「木村総裁の教えで、人間力を高めれば競技力が上がっていく。あいさつがちゃんとでききなければならない」と、競技以前に自分を磨くことの大切さを説く。優勝した2人とも最初から強くもうまくもなく、才能は“中の中”だったが、ここまで成長したのは本人の努力もさることながら「親御さんの団結力があり、周囲のフォローがすごく良かった」と感謝する。
さらに「わたし個人は、東京五輪の出場の可能性は大だと思っている」と言い、「テコンドーのキャリアが浅いのにここまで来たので、われわれの想像を超えた伸び代があるし、ポテンシャルが高い」と2人のオリンピアン誕生を願っている。