カナダ出身の三条市国際交流員だったピーター・カーターさん(28)が7月で任期を終えるのを前に31日、国定勇人三条市長にあいさつに訪れた。自ら事業を企画し、市民にも愛された特別な存在だった。
ピーターさんは2011年8月から語学指導等を行う外国青年招致事業のJETプログラムで三条市国際交流員に着任。任期は2年だが、ピーターさんは任期満了前に継続を希望し、さらに2年間、務めた。
経済部地域経営課で働いた。ピーターさんが存在感を示したのは三条マルシェだ。三条市国際交流員となって2年目の12年5月から自身の企画で国際理解講座「世界のキッチン」を始めた。カナダ料理はもちろん、世界各国の料理を調理実習するとともに、その国の文化を紹介するユニークな講座で、そのPRにと次回、講座で取り上げる料理を三条マルシェで調理、販売した。
もともと料理が得意なこともあるが、ネットなどでお国料理に関する情報を収集し、にわか仕込みで調理方法を勉強しながらもクオリティーの高い料理を提供した。これが評判で、講座はいつも軽く定員を超す応募があった。
さらに同じ年に英語劇も自分で企画。これも予算ゼロでのスタートで、受講する子どもたちがなかなか思うように動いてくれず、苦労を味わった。日本語は当初から流ちょうで意志の疎通に不自由はなく、陽気な性格もあって三条マルシェの関係者を中心に市民からも愛された。期待を大きく上回る活躍で何年でも三条市にいてほしいと思わせる存在だった。
4日に帰国するが、カナダで就職するためにテレビ電話も駆使して面接など就職活動を行っているが、まだ就職先は決まっていない。少しは就職に有利になるかもと口ひげをそった。
三条市国際交流員となってから結婚した。その前も韓国に留学していたので5年半、一度もカナダに帰っていない。国定市長を訪れたピーターさんは「帰国してから文化や生活になれることができるかどうか不安」と国定市長を笑わせた。
三条マルシェでのピーターさんの活躍を良く知る国定市長は「ここまで日本語をきれいに話せるのは必ず武器になる」と言い、「口に出すことはなかったけど、本当に感謝してますよ」と、照れくさそうなピーターさんに何度も繰り返して感謝していることを伝えた。
ピーターさんは帰国に向けて切羽詰まってから荷物の発送や書類の記入に追われ、大げさではなく寝る間もなく、「だから元気が出ない」と最後まで笑わせていた。
後任は12歳で韓国から米国へ移民したヘウォン・パークさん(24)で、5日から勤務する。