燕市産業史料館では、1日から30日まで発足30周年記念の水燕鎚工会(すいえんついこうかい)作品展を開いている。毎年恒例で水燕鎚工会(高橋純一会長)の燕市と三条市で金属工芸を学ぶ6人の作家の作品とあわせて今回は同会発足30周年となるのを記念して同会を卒業した元会員の作品もあわせて展示している。
会員作品40点、元会員の作品は賛助出展として8人の1人1点ずつを展示する。会員作品は毎回、テーマにあわせた作品を1点ずつ制作しており、今回のテーマは「希望」。椛澤伸治さんの「花はまだ」はこれから花開くつぼみ、細野五郎さんの「花ひらく」は開き始めた花に希望を見る。
岡本國雄さんの「かけっこ」は童話「ウサギとカメ」のカメの地道な努力に希望を託し、岡本秀雄さんの「旅立ち」は上に向かって翼を広げる鳥。石高靖男さんの「旅」は未来に向かって希望を膨らませ、高橋純一さんの「明日に架ける橋」は未来へと続く道を象徴している。
元会員の賛助出展は、同会の初代会長で人間国宝となった玉川宣夫さんの「木目金花瓶」をはじめ、ベテランが自信の作品を展示。例年、会員の作品だけの展示だが、元会員の作品が加わることで会場の雰囲気を重厚に引き締めている。
村上市で生まれ育ち、高校を卒業してすぐ18歳で玉川堂に入った会員の細野五郎さん(64)=燕市新生町=は、それから2年後、今から44年前に制作した花器「羽撃く」を展示する。実家に置いてあったもので、バドミントンが好きだったのでシャトルをモチーフにした。良くつくったと今でも先輩にほめられたことを覚えている。
同会は純粋な勉強会として発足したアカデミックな組織で、ふだんは独自に制作している会員が交流しながら技術を研究、切磋琢磨している。直接、利益を生むことはないが、発足当初から会員の細野さんは「職人はふだんと違うものをつくることにおもしろみを感じる。違うものをつくりたいという願望がある」と言う。
新しい会員は入れない考えだ。「若い人が勉強したいなら若い人で別に会をつくった方がいい。その方がやる気になるでしょうから」と会の存続に執着はなく、新たな息吹が生まれることに期待している。
22日は打ち上げを兼ねた同会の親ぼく会を開く。いつもは会員だけで開くが、今回は元会員からも出席してもらう。
会期中は毎週日曜の午後2時から作品解説会を開いている。参加は無料だが、入館料が必要。また22日は午前10時からと午後1時からの2回、銅を使ったアクセサリーの製作体験会を開き、各回先着10人で締め切る。参加費3,000円で予約は同史料館(電話:0256-63-7666)へ。
午前9時から午後4時30分まで開館、月曜休館。入館料は一般300円、小中学生100円、小学生未満無料。土、日曜と祝日は市内の小中学生と付き添いの保護者1人が無料。
【テーマ作品】