一般の通行が不可能な八十里越の工事区間を含む福島県いわき市から新潟市を結ぶ国道289号の全線を、福島県立只見高校の生徒が自転車で踏破する「R289フルコース踏破 by WALK & CYCLE 2015」が2、3の2日間、行われ、県内では三条市からゴールの県庁に向けて自転車をこぎ続け、早期開通をアピールした。
国道289号の早期全線開通と自然の豊庫・八十里越周辺の環境保全、有効活用の推進を発信しようと2010年から夏休みに行っており、今回5回目。
同校の選抜生徒や保護者、教諭、町民などで構成する実行委員会が実施主体となった事業で、高校生25人が総延長約325kmの行程を約10kmずつ交代しながら6台の自転車で踏破する。
今回は、同校の野球部、陸上部、バレー部など計24人が参加。引率の教諭や保健士、自転車以外の生徒を乗せるマイクロバスや併走するトラックの運転など一般の計10人の大人が同行。参加者は全員が「2015 R289 フルコース踏破実行中 いわき→新潟」の文字が背中にあるブルーのポロシャツを着て踏破に臨んだ。
初日3日午前6時半にいわき市勿来の関(なこそのせき)をスタートして福島県内を走行し、午後6時に只見町に到着。いったん町内の自宅に戻り、2日目の翌3日は、午前7時半に只見町をスタートした。
工事中の不通区間の只見側ゲートから三条側ゲートまでは、自転車をトラックに積み、途中、生徒は徒歩とマイクロバスで移動。三条側ゲートで再び自転車に乗り、40キロ地点の日帰り温泉「いい湯らてい」前、50キロ地点の三条市役所下田庁舎前で交代しながら、今のところ地図上ではとなり町・三条の道でペダルをこいだ。
午後0時35分ころ、国定勇人市長らが待つ三条市消防本部に到着。同本部の講堂で、三条市からのプレゼントとして国定市長がモモと三条のナチュラルミネラルウォーター「千年悠水」を手渡し、生徒代表から只見町産のトマトと菓子を贈った。
歓迎のあいさつで国定市長は、只見町へは入広瀬を国道252号線を通って田子倉ダムの方から行って早くても2時間半かかるが、八十里越が開通すると遅くても1時間半で只見町と三条市がつながり、県をまたいでも名実ともに隣り通しになると話した。
さらに、生徒たちには、いわきから新潟への自身のチャレンジに聞こえるかもしれないが、三条市側からみればこの事業を続けてくれることが国道289がいかに大切な道路だと言うことを生徒の足が見せてくれると非常に期待している。たすきを後輩にしっかりとバトンタッチするためにも健康に留意して完全踏破を目指してほしいと、早期開通と踏破の無事を願った。
生徒のリーダーを務める野球部キャプテンの2年生加藤正靖さんは、「先輩がたすきを毎年つないでいる姿を見て、自分もと頑張っています」。八十里越道路の開通に期待するのは「新潟・三条の人と只見の人たちとの交流を願っています」、開通前にも「三条市の人とイベントなどでの交流をしてみたい」と話した。また、沿道で「頑張ってね!」と声をかけてくれる人がおり、「暑いので、気持ち的にもうれしい」と真っ黒に日焼けした顔に真っ白な歯をのぞかせた。
一行は昼食をとり、午後2時前に新潟市に向けて再び出発。石上大橋を渡る国道289号を進んで燕市に入り、吉田地区で交差する国道116号を通り、新潟県庁を目指した。