三条市は21、22の2日間、子ども向け職業・社会体験施設「キッザニア」と連携した「キッザニアマイスターフェスティバル in 三条」を開いており、延べ約500人の小中学生が「ものづくりのまち三条」の現場である工場や農園、市役所などリアルな仕事場で職業体験などに挑戦している。
昨年に続いての企画で、初日21日は午前8時半から三条ものづくり学校で開会式を行った。国定勇人市長や来賓の「キッザニア」を運営するJKC GROUP株式会社の住谷栄之資代表取締役社長はじめ、参加者の子どもたちが列席。任命式でナシ農園(土田農園)を体験する近藤優月(6年生)が決意表明を行って、それぞれの体験現場へと向かった。
今回の体験は、体験や見学のあとレポートを三条市に提出する「工場を取材する仕事」、鍛冶職人の仕事を体験する「鍛冶職人の仕事」、ものづくりに関わる仕事を体験する「ものづくり・デザインの仕事」、「三条市の公務員の仕事」の4つのカテゴリーの計33コース。申し込みでは定員を上回ったコースも多く、昨年に続いて参加した子どもも多い。
「工場を取材する仕事」のコースのひとつ、はし作りの体験では、マルナオ株式会社=三条市矢田=で開催。小学生3人と中学生3人の男子5人と女子1人の6人が参加。同社はオープンファクトリーを行っていてふだんから工場見学できるが、今回は関係者以外立ち入り禁止の製造現場に入り、はし作りを体験した。職人らが機械を動かしたり実際の作業をしているなかで、1台ずつ用意してもらった特設の作業台の前に座り、かんなでスギの角材を削って八角形の箸を完成させた。
第二中学校1年五十嵐あやさんは、「木は堅いけど1回、1回、削るごとにはしに近づいているのでやりがいがある」と、かんなを握る手に力を込め、真剣な表情で作業を繰り返した。
大崎小学校5年丸山生夢君は、家庭で使っていたはしが折れて、割りばしを使っていたので、自分で作ってみようと申し込んだ。「力がいる作業で難しかった。木がずれたりして」と苦労したが、「思ったよりうまくできた」。さっそく、昼ご飯から使うと言い、「ずっと大事にしたい」と笑顔が輝いた。
さらに今回、設定したコースには、製品を実際に製造する工場だけではなく、消費者に届けるためには欠かせないパッケージやサインなどを生み出すデザイン事務所での体験も加わり、選択の幅も広がった。
コースのひとつ「グラフィックデザイン(看板製作体験)」は、三条ものづくり学校内の有限会社エムズグラフィックで開催。2人が参加し、翌22日に同校で開かれるワークショップのためのサインボード(看板)の制作を体験した。同社の樋口社長に、種類や手法などデザインについて聞いてから、看板を制作する会社のセールスポイントを聞いてくるという作業からスタートした。
また、「商品パッケージ(ペーパーナイフのパッケージ製作体験)」は三条ものづくり学校内で株式会社誠晃舎が実施し、三条鍛冶道場の製作したアルミのペーパーナイフの新しいパッケージをデザインして作った。
参加した子どもたちは、真剣な表情で仕事を教えてくれるおとなの顔をしっかりと見て、話はメモを取りながら聞いていた。
2日目の22日は、三条ものづくり学校で「ものづくり・デザインの仕事」の8コースと「三条市の公務員の仕事」5コースが実施される。
午後1時半から5時まで市役所議場で開かれる「市議会議員(子ども議会)」は、子ども議員の立場で小中学生が国定市長に質問する。なお、通常の議会と同様に午後2時半から4時半までインターネット中継も行われる。