過去最多の77人が参加した「寺子屋つばさ100km徒歩の旅」は23日、ことしも4泊5日をかけて全員が最終日の弥彦山登山を含む100キロを歩き抜いてゴールした。
夏休みに小学生が4泊5日で三条市、燕市、弥彦村と計100キロを踏破して心身を鍛練し、成長を手助けする、ことしで8回目となった恒例の事業。参加したのは三条、燕、弥彦の4年生以上の小学生で、19日に三条市下田地区の日帰り温泉「いい湯らてい」を出発し、23日午後3時過ぎに弥彦村役場となりの弥彦村農村環境改善センターにゴールした。
これまでは盆前に行っていたが、ことしは盆過ぎに日程を遅らせた。5日間で100キロを歩くこと自体は体力的にはそれほど難しくなく、最大の敵は猛暑だが、ことしは盆過ぎから一気に気温が下がって例年になく負担の少ない100キロに。物足りないという声もあったが、逆に盆前は連日、猛暑日に迫るような高温が続いただけに、そのリスクを考えれば逆に日程を遅らせたのは幸いだった。
ゴールには子どもたちの家族ら200人以上が出迎えた。日焼けしてスタート時よりずっと肌が黒くなって見るからにたくましくなった子どもたちは、8つの班ごとにゴールのテープ前に整列。「100キロの旅は終わったけど、ぼくたちの旅はこれからです」、「わたしたちはここまで成長しました」、「寺100大好き、最初で最後のいーっぽ!」などと前の晩に班で考えた言葉を唱和して前に踏みだしてテープを切った。
家族には4日前から子どもたちのようすを見ることが許されていない。これほど長くわが子に関する情報が遮断されることはなく、遠くにわが子の姿を確認するともう涙をこらえきれないお母さんもいた。
同様に親の顔が見えた途端に泣き始める子どももいて、テープを切ると親子で涙を流しながらがっちりと抱き合い、泣きじゃくる子どもにただただ「頑張ったね」くらいしか言葉にならず、日常生活ではあり得ない感動を味わっていた。
しばらして落ち着くと、班の仲間と記念写真を撮ったり、連絡先を交換したり。その子どもたちを束ね、寝食を共にして事業を運営したのは、7つの大学と3つの専門学校の36人の学生スタッフのお兄さん、お姉さん。子どもたちと一緒になって完歩を喜んだ。
昨年に続いて学生スタッフを務めた三条市に住む新潟県立大学2年の今井玲佳さん(19)は、班の子どもたちから感謝の手紙と花の折り紙を手渡され、涙した。前の晩に子どもたちが内緒で用意したサプライズ。「予想もしていなかったので、もう涙が出て。ことしも続けて良かった」と今井さん。「子どもたちにはすごい力があると思ったし、5日間でこんなに成長するとは思わなかった」と充実感を味わっていた。