三条市四日町地内の新通川で、市内では自生がまれな水草「コウホネ」と、県が準絶滅危惧に指定する「ナガエミクリ」が花を咲かせている。しかし、いずれも間もなく見納めとなりそうだ。
コウホネはスイレン科の植物で、ここでは7月末から9月初めまで開花する。ことしの花の盛りは過ぎているが、黄色のピンポン玉のように球形の花を開き、コウホネのあるところでは、まだいくつも咲いている。
ナガエミクリは、きれいな水域で見られない貴重な水草だ。新通川にあるコウホネ以外の水草のほとんどがナガエミクリで、生活雑排水が流れ込む新通川に自生しているのは不思議だ。
水面に出た部分に花や実がついている。花が終わった実は緑色でクリのイガのような突起に覆われている。開花期はすでに終盤で、わずかに白い放射状に開く花を咲かせている。
「来年はこの姿を見られなくなるだろう」と話すのは、新通川の近く、南四日町1に住むNPO法人にいがた里山研究会の理事長、小林良範さん(60)だ。ことし7月から新通川では河川改修が行われている。上流側から工事が始まり、矢板を打っている影響か、それまでより水は茶色く濁っている。
五・十の市が開かれる四日町市場そばに新通橋が架かる。コウホネとナガエミクリは、ほとんどがその新通橋から下流側に自生している。ところが改修工事では、新通橋から下流側は川床までコンクリートをベタ張りすることになっている。
県はナガエミクリを準絶滅危惧に指定しているため、保全の措置を講じなければならない。計画ではコンクリートの川床に10メートル間隔で直径30センチの穴を開けることになっているが、「それでは自生し続けるのは難しい。せめて5メートル間隔で1メートル角の穴なら」と小林さん。川床がコンクリートにならない新通橋上流側に移植する手もある。小林さんは今後も県に植物の生き残り策を働きかけていくつもりだ。
とはいえ、河川改修に反対しているわけではない。新通川の水があふれると、小林さんの家の周辺も冠水する。「うちも水害の被害があるので、工事は歓迎している。ただ、できる限りの範囲で植物を残せるものなら」と願う。「来年はこの姿を見られず、ことしが見納め。今のうちに見ておいてほしい」と話した。