商品や部品生産の製造工程で排出される事業排出物「ブランク材」を使って新しい価値ある作品「製品」に生まれ変わらせる「燕三条ブランキングアート展」が11月30日まで燕三条地場産業振興センター・リサーチコアと燕三条Wingの2会場で開かれている。
昨年に続いて2回目の企画。燕三条プライドプロジェクトの同展実行委員会が主催し、主に三条市内と燕市内の事業所に作品を募集し、ことしは大学関係者や個人作家からも募集した。昨年より6点多い18点の応募があった。作品は9点ずつ2会場に分けて展示している。
昨年、最も話題を呼んだのが、三条市・諏訪田製作所の「ウォリアーズ」。つめ切りを抜いた廃材で等身大の戦士のオブジェに生まれ変わらせ、借用の依頼さえある。今回はつめ切りなどの製造過程で出る鋼のブランク材や放電加工の後に廃材となる真鍮ワイヤーを使って「羊」を作り、ワイヤーがヒツジの毛並みを見事に表現している。
長岡技術科学大学・Kawaii理科プロジェクトの「分解アクセサリー」は、電卓を分解して使われているパーツをUV硬化性樹脂に封じ込めてストラップにしたり、そのままピアスの飾りにしたりとアクセサリーに生まれ変わらせるという発想がユニークで、しかもふつうにかわいい。
県立三条テクノスクールの安野雅之さんは、溶接等の実習から出た鉄の端材で「昆虫」を作った。板厚1.0ミリの軟鋼板や溶接棒などの端材で、生きているかと思うほど精巧にリアルにできている。
燕市・一菱金属の「ジャイアント イチビシ」は、三条市出身のプロレスラー、ジャイアント馬場のように加工したプロレスパンツ1枚で構える写真を使い、ジャイアント馬場と同じくらいの身長になる顔出しパネルを作った。どこが廃材かわかりにくいが、チャンピオンベルト部分に穴を開けるために打ち抜かれたステンレスで飾り、パネル裏の顔を出すために上がる台も端材。作品展の頭文字をとって「TSBAヘビー級チャンピオン」という設定もおもしろく、幅の広い表現力が楽しめる。
16日以降は昨年の応募作品もあわせて展示する。また、スタンプラリーを行っており、2会場で台紙にスタンプを押して燕三条Wingに持参すると直径2.5センチの円形にステンレス板の排材に同展のロゴとシンボルマークをデザインしたオリジナルストラップを先着100人にプレゼンとする。