県立加茂病院の建て替えについて県と対立する小池清彦加茂市長と泉田裕彦県知事が9日、会談を行ったが、互いが主張を繰り返して終了し、「妥当な結論」には至らなかった。
小池市長が県庁を訪れて30分間、会談した。小池市長は面談の要請に応じた泉田知事に感謝の言葉を伝え、あらためて「病児・病後児保育施設を新しい加茂病院と同時に開院させてほしい」、前知事時代のような産科の閉鎖を危惧することなどからの「産科の個室の増設」、「一般病棟の増床」の3つを要望した。
そのうち一般病棟の増床については、これまで50床としていたところを先の要望を実現するとスペース的に無理として「精いっぱい」という表現にとどめ、「最後の御英断を」と求めた。
泉田知事は、「ご要望いただいたものについて、合理的なものについては対応させていただきたいと思います」と述べたあと、「そもそもなんですけれども」と続けた。
県立加茂病院の改築計画は、県単独で決めたわけでなく、第二次医療圏に基幹病院設置の前提で、医療保険関係者と加茂市もオブザーバーとして入ってもらって専門家と議論し、医療資源をどう配分するか、分業など各病院の利害調整を含めたうえで策定したと経緯を述べた。
「病院局としても公金を使ってするものなので、説明責任を果たさないといけない」、「ぜひ病院局から出ている質問にやり取りをしていただきたい」と求め、「公開で議論していただければどういったところが合理的なのかかたまってくると思う」。
小池市長は、病院局の対応によって半年が経過したとし、「(決定権のない)病院局とやるのはご勘弁いただきたい」、「私はもうこりごりでございます」。泉田知事は、「あの、もう一回申し上げます」と最初の内容を繰り返して話し、「市長さんが直接やらなくてもいいんです。事務当局同士でやり取りをしていただいて、県民に説明できるような形で情報をいただいて」と話すと、小池市長は「もうこれ出しております。もうこれ以上は、恐縮ですがこりごりです。私の部下がやったって、もう延び延びになるだけです。もうご勘弁です」と声を荒らげる場面も。さらに、「そうではなくて」と、かみあわない主張が何度か繰り返された。
予定の30分となっての退席の際も、時間をとってくれたことに礼を述べる小池市長に、「ぜひ組織での仕事をやっていただければと」と泉田知事が見送り、さらに小池市長が「もう半年も空費いたしましたので、これ以上はご勘弁いただきたいと思います」と互いに柔らかい表情を見せながらも平行線に終わった。