顧問の下田志水(しもだしすい・本名トシ)さん(93)を頂点とする書道一家「下田書道会」=加茂市幸町1=は20、21の2日間、加茂文化会館でこれまで最大規模といえる社中展「サンガ展」を開く。
下田書道会の指導者は、志水さんとその長女の下田湲水(えんすい・本名久子)さん(65)、婿養子の下田泰山(たいざん・本名泰司)さん(64)。さらにその夫婦の長男の下田逅絆(こうはん・本名幹雄)さん(35)、二女の下田彩水(さいすい・本名路子)さん(32)の3世代、5人にもなる。いずれも新潟市に本部を置く日本書法教育会の指導者の資格をもつ。
加茂市内3カ所をはじめ新潟市2カ所、見附市1カ所の計6つの教室があり、その生徒やすでに独立している教え子、子どもからおとなまで毛筆だけでなく硬筆も含め実に430点にのぼる作品を展示する計画だ。
志水さんは長く出雲崎町で庄屋を務めた家に生まれ、旧姓安達トシ。元小中学校教諭で国語や家庭科を教え、退職後に書道塾を開いてことしで47年になる。兄は小学校長で短歌などをたしなみ、日本書法教育会の前身、嵐亭会の創設にも協力した。また泰山さんの伯父、渡辺国雄さんは昭和天皇の侍従を務め、書も担当。5人以外の縁者にもさまざまな書道との接点がある。
また志水さんの先祖をさかのぼると、初代の9番目の子が源頼朝の側近だった安達藤九郎盛長で、頼朝の乳母の娘と結婚して出雲崎高名山薬師寺創建に多額寄付をして子孫の安泰を願い、鎌倉幕府を支えたという。その泰盛が死去してことしで730年。初代から数えて850年になり、38代目の子孫のひとりである志水さんが供養の気持ちも込めて今回の社中展を開く。志水さんは一族の出自をつづった書を展示する。
そんな歴史にちなんだ「乗馬の名人」や「鎌倉武士」の字句を書いた作品を展示する。湲水さんは「力作ではなく肩の力を抜いたふだんのけいこのままの作品」、彩水さんは「やることに意味がある。書道って楽しいねと、頑張って書くきっかけになればいい」と言い、来場を待つ。2日間とも午前9時から午後5時まで開く。入場無料。