シルバーウイークの期間中、三条鍛冶道場には連日、県外からの観光客が訪れ、ペーパーナイフ作りや和釘作りを体験して三条の鍛冶の技にふれた。
これまでも平日は近隣から包丁研ぎ体験、休日は県外客の割合が増える。今回の連休は5連休、2日休みを取れば9連休にもなっただけに、とくに遠方からの利用が多かった。首都圏はもちろん遠くは秋田や北海道、和歌山など、体験の申し込みのほとんどが県外の人だった。
22日にペーパーナイフ作りを体験した山形県の稲垣和崇さん(24)と秋田県の大学院生佐藤修平さん(24)の2人は、2泊3日で初めて燕三条に訪れた。
燕三条を選んだのは、大学院で金属を扱っており、金属加工の有名な燕三条がヒット。稲垣さんの地元、山形県の出身の工業デザイナー奥山清行氏が燕市の磨きやシンジケートとコラボレーションして生み出したワイングラスを見たこともきっかけになり、奥山氏の鉄瓶やティーポットなど工業デザインとして新しく切り開く取り組みに興味があった。
佐藤さんは五寸釘を赤く熱して叩き、削り、磨いてペーパーナイフを仕上げた。「均等に仕上げるところが難しい。経験がないとできない技だな」、「ふだん刃物を作ることはないので難しかったが、伝統にふれることができて楽しかった」とものづくりの奥深さを実感した。
ほかにも、ひとりでペーパーナイフ作りを体験した男性は、「おもしろい!。はまっちゃいました」と続けて和釘づくりにも挑戦。朝いちばんでペーパーナイフづくりに訪れた女性もいた。
同施設は春先にペーパーナイフを刀のような形に仕上げた写真をSNSに投稿した。オンラインゲーム『刀剣乱舞』が火付け役となった刀剣ブームにあやかったもの。思いがけず、この投稿が全国の「刀女子」に広まり、これまでになく若い女性の体験が増え、鍛冶体験を目的に三条鍛冶道場を目指して訪れる人が増えている。