燕市の鎚起銅器職人、大橋保隆さん(40)の燕市吉田、ツバメコーヒーでの2回目の個展「Newtral Plate/Newtral Bowl」が4日まで開かれている。
作品は大きく分けて3つ。「Newtral Bowl」、「Newtral Plate」、「100 Cups」。「Newtral Bowl」は球体を中心で真っ二つに割ったような形状で直径24センチ、税抜き2万7千円。キッチンアイテムを多くデザインした戦後の日本を代表するインダストリアルデザイナー、柳宗理氏デザインのステンレス製のボウルを鎚起銅器で作ったもので、書道でいうなら臨書のようなものだ。
「Newtral Plate」は浅いプレート。高価な鎚起銅器を手ごろな価格で求めてもらおうと企画した。円形で直径が1寸刻みで5寸から11寸まで7サイズあり、5寸なら7千円で求められ、生活の中に気軽に鎚起銅器を取り入れられる。
「100 Cups」は、とにかく同じものを100個、作り続けたら何か得るものがあるのではと、円すいの上を切ってひっくり返したようなシンプルな形状のカップを100個、作った。1万3千円。しかし、手作りなので微妙な違いがあり、お気に入りを選ぶのも楽しい。
また、「100 Cups」は今回のために作った天板に鏡を張った展示台を作ってずらりとカップを並べてあり、水面に浮かんでいるような不思議な感覚で鑑賞できる。それ以外は外の庭に置いたテーブルに並べて展示してあり、空間とともに作品を楽しめる。
ツバメコーヒーでの個展は1年ぶり2回目で、展示手法はツバメコーヒーを経営する田中辰幸さん(37)と相談して進めた。前回はさまざまな作品をそろえて大橋さんの多彩な技術や作風を見せたが、「より見てもらいたいことが明確になった。1年間、ツバメコーヒーでコーヒーを飲んで過ごしたなかから生まれた」と大橋さん。田中さんは「自分がほしいものを大橋さんにリクエストしている感じ」と話している。
個展期間中に3回、田中さんとゲストによるパネルトークを企画し、最終回の3回目は3日午後3時から5時まで哲学者の鞍田祟さんをゲストに「『つくる』私たち-今なぜ民藝か」のテーマで行う。