1日から4日までの「燕三条 工場の祭典」に参加している黒檀や紫檀ではしを作る株式会社マルナオ(福田隆宏社長・三条市矢田)は3日、同社で行ったレセプションで燕三条で働く人たちによる作業着のファッションショー「作業着RUNWAY(ランウェイ)」を開き、200人以上が見学に訪れる大盛況だった。
昨年11月に移転、新築したばかりの社屋のショップと事務所・工場の間を貫くピロティが、ファッションショーで言うところのモデルが歩くランウェイ。モデルは同社を含め、15社で働く25人。燕三条地域の諏訪田製作所、玉川堂、三条特殊鋳工所、タダフサ、藤次郎など製造業の現場で働く人のほか、燕三条イタリアンBit、ラーメン潤、麒麟山酒造など飲食店や食品関係で働く人もモデルになった。
基本はふだん通りの作業着。工場からそのまま出てきたように、マスクや安全靴があれば、それも着用。企業によっては、自社製品を持ったり、踊ったりと工夫するところもあった。玉川堂は新しいオリジナルの作業着を製作中だが、それをデザインからアパレル部門にも注力するスノーピークに発注した。柔道着をベースに職人が作業しやすいように袖口は狭く、足を開きやすいようにと機能性にこだわったデザインを進めており、完成より一足早く試作品をお披露目した。
業者に委託したファッションショーの演出が見事だった。ランウェイにはレッドカーペットを敷いて照明を当て、社屋の壁にはレーザー投影で各社のロゴマークを表示した。
各モデルはリハーサルなしで本番直前の簡単な打ち合わせだけでランウェイを歩いたが、大音量のダンサブルな音楽とともに各社のユニホームを紹介するナレーションが流れるなかで見ると、まさにテレビなどで見るファッションショーのイメージ。来場者のなかにはドレスや和服、スーツでドレスアップした人もあり、知り合いが出演するからと冷やかし半分で見学に訪れた人も感動するほど驚いていた。
サプライズゲストは国定勇人三条市長。三条市消防演習の統監用の制服で出演し、ポージングで敬礼も披露したが、体がぎくしゃくするほど緊張していた。「こんなに本格的だとは思わなかったし、お客さんの多さに圧倒された」と声を弾ませ、「こういう取り組みのひとつひとつが工場の祭典を成功に導いていると思う」と喜んだ。
福田社長の「すばらしいファッションショーになった」と大満足。「子どもたちがものづくりの現場を見たり、職人の仕事に興味をもつことで未来のものづくりの職人へとつながっていけばいい」と願っていた。