10月の1日から4日まで「燕三条 工場の祭典」が行われましたが、それに合わせたかのように東京にある(株)ブランド総合研究所という会社がことしで10回目になる「地域ブランド調査2015」の調査報告書を公表しました。
「地域ブランド調査2015」の調査報告書のPDF
約2万1千人を調査対象にして都道府県単位や市区町村単位で地域のブランド力を調査したもので、全国1,000の市区町村、47の都道府県の中で最も魅力的な市区町村は函館市が2年連続、北海道が7年連続で1位となりました。詳細には、それなりに興味深いデータが見えてきます。
都道府県についていえば、新潟県はことし19位と去年の35位に比べれば大きく順位を上げたようですが、これには北陸新幹線の金沢延伸も多少影響がったのかもしれません。ただやはり知名度の高い上位10都道府県あたりとの差は大きいようです。
それよりも市区町村の魅力度ランキングの方が興味深いです。ベスト100の中に新潟県内の市町村は1つ、それもギリギリ96位の佐渡市だけでした。この手の調査では比較的大都市や観光地や史跡のある街が入りやすいのですが、政令指定都市の新潟市も3尺玉花火の長岡市もランク外でした。それだけ新潟県には市町村レベルでは魅力的な街がまだまだ少ないのかもしれないのでしょうか。
ただ、主要な評価項目の上位ランキングも合わせてみると興味深いことに、なんと燕市が食品以外想起率では去年の11位から5位に上がっています。想起率というのは簡単にいえば「○○といえば××市」の割合が高いということです。例えば「メロンといえば夕張市」という感じで財政再建中の北海道夕張市は食品想起率で2位にランクされています。であれば燕市の場合には「洋食器(スプーン)といえば燕市」ということになりそうですね。今になって順位が上がった理由も知りたいところです。
数年前にも似たような資料でも燕市はかなり上位に入っていましたし、三条市もそれなりの位置にランクされていました。調査人数が多いので家庭用の「洋食器」と専門性の強い「金物」では身の回りにある分だけ親近感、想起率の違いがでたのかもしれません。ちなみに1位となった愛媛県の今治市はタオルの街で有名ですが中国製の安いタオルに押されジリ貧気味でしたが、高級タオルブランド「今治タオル」を地道に広げた結果でしょうか、今回1位になりました。
あくまでも仮定の話になってしまいますが「燕三条」として調査されたとしたら魅力度ランキングはどうなるかなんでしょうが、おそらくは「金属加工、ものづくりの街」で食品以外想起率はさらに上位に入り、認知度も上がるでしょうから全体のランキングについても100位以内にはもしかしたら入るかもしれません。
ただ悲しいかな「燕三条」はあくまでも地域ブランドであっても行政単位ではないのでこの手の調査では残念ながら今のところ「選定外」になってしまいます。
文:小林利造