21日未明、燕市南一丁目で10棟が燃えた大火事で、燕署では出火原因や焼け跡で見つかった遺体を調査している。
火元の河村正治さん(89)方はひとり暮らし。出火当時、河村さんは裸で毛布をかぶって外へ逃げ出したとのことで、入浴中だったと思われる。認知症があるようで、出火当時のようすははっきりしない。
木造一部2階建の2階部分を中心に燃えており、1階の電灯に電気火災の痕跡が見られ、火災の原因となった可能性があるが、まだわかっていない。
河村さん方に向かって右隣りの遠藤美津男さん(85)方も全焼し、焼け跡から女性と見られる身元不明の遺体が見つかった。遺体は風呂場の前で風呂場の方向に頭を向けて倒れていた。美津男さんの妻キクエさん(85)と連絡が取れなくなっていることから、キクエさんと見て調べており、翌22日に司法解剖を行う。
遠藤さん方は18歳の孫と3人暮らし。孫は2階、美津男さん夫婦は1階にいて、火災に気づいて孫は美津夫さんを助け出したものの、キクエさんの救出に向かうころには家が激しく燃えて中に入れなかった。遠藤さん方の前には花や飲み物が供えられていた。
河村さん方の前の道路は一方通行で、裏手は幅2メートルほどしかなく、狭い道路に沿って家と家の間を人が通られないほど住宅が接近して建つ。延焼の危険性が高いのは明かで、消火作業の一方で近隣の家は貴重品や家財道具を運び出すのに懸命だった。
河村さん方の裏の家で炎が上がり始めたころも、ホースは延ばしたもののなかなか送水が行われず、「手も足も出ねーってこのことらな」と消防団員は炎を見上げていら立っていた。
南一丁目の町内ではこれまで火災とは無縁というくらい火災がなかっただけに、いきなりの大火が町内の人を驚かせた。