三条市庭月、諸橋轍次記念館(羽賀吉昭館長)は11月3日まで同記念館で漢学者諸橋轍次(1883-1982)から父の嵐陰(らんいん)(1853-1918)、祖父の巻梧石(まき・ごせき)(1813-1878)とさかのぼる書画を展示して「親子三代作品展」を開いている。
轍次の母方の祖父、巻梧石は三条町四ノ町(今の三条市本町6)に生まれ、昆虫を得意にした五十嵐華亭(かてい)に師事し、のちに江戸へ出て椿椿山(つばき・ちんざん)に学んだ。花鳥と人物を得意とし、江戸から明治初期に活躍した“三条文人”と称される三条の画家のなかでも五指に数えられるほどの画家だった。
轍次の父で“嵐陰”を号とした諸橋安平は、巻梧石に師事し、その後、巻梧石の二女、シヅ(1856-1908)と結婚し、轍次を生んだ。下田諸橋家の初代で、花鳥画を得意とし、玄人はだしの作品を多く残した。
同記念館では、轍次と嵐陰の親子展、嵐陰と巻梧石の二人展を開いたことはあるが、三代展は初めて。巻梧石の8点と嵐陰5点の画と轍次の書9点の計22点を展示している。
注目は巻梧石が描いた六曲一双屏風の「孔雀の図」。ほかは入場無料の多目的ホールに展示しているが、この先はとくに貴重なこともあり、有料の展示室コーナーにガラスの中に入れて展示している。
それぞれにつがいのクジャクを描き、背景にマツやウメ、ボタンなどを色鮮やかに描き、奥行きや空間を巧みに演出した傑作だ。轍次の系譜とともに作品を楽しめる展示となってりう。
午前9時から午後5時まで開館、入館は4時半まで。休館日は月曜で、月曜が祝日ならその翌日。問い合わせは同記念館(電話:0256-47-2208)へ。