音楽で生徒の心にうるおいをと三条市立第三中学校(吉田一弥校長・生徒342人)は20日、三条市中央公民館で三中・オータムコンサートを開き、全校生徒がホールでソプラノ歌手とピアノの演奏で芸術の秋を味わった。
吉田校長が以前の勤務校で行ったプロの音楽家による演奏会が、荒れた生徒の心もいやしてくれたことから企画したもので、開演前のあいさつで吉田校長は、美しいものがあっても感じる力がなければ何も感じず、感じる力は若い時代に育つと言い、「自分自身の感じる力を育て、世の中に存在する美しさを感じてほしい」と願った。
出演はソプラノ歌手鈴木愛美さんとピアノの佐々木陽子さんで、ふたりは長岡市出身の幼なじみ。鈴木さんは国立音大、同大学員で声楽を専攻、ウィーンで演奏活動を続け、文部科学大臣賞など数々の賞を受けている。佐々木さんは昭和音大でピアノ演奏家コースを卒窯し、イタリアでソロリサイタルを開催、新潟県音楽コンクールで対象を受けている。
唱歌「浜辺の歌」や童謡「赤とんぼ」、ピアノの「エリーゼのために」、シューベルトの「アヴェ・マリア」など生徒にも耳なじみのある曲を演奏。プロの声楽を演奏を間近に鑑賞する機会はめったになく、生徒はその声量や楽器ような美しい響きに集中して聴き入っていた。
ふたりは途中で生徒の質問に答えた。鈴木さんは本格的に声楽を始めようと思ったのは高校3年生のときに「1枚のCDを聞いた時にこんなに美し声があるのかと衝撃を受けた」こと。「目の前の好きなことを何でもいいので、とりあえず一生懸命やれば少しずつだけど前へ進み、夢は必ずかなう」と話した。
佐々木さんはこの日のリハーサルで鈴木さんが「すごく勉強になる」と繰り返し話したことにふれ、「音楽はいつまでも上を目指せる。勉強したいと求める力をもってほしい」と生徒に思いを託していた。