「大学生による観光資源提言コンテスト」に採択されて新潟経営大学(加茂市)の中島純教授のゼミが若者に向けて製作した加茂市のプロモーションビデオ(PV)「加茂ぐるめぐり」が、動画投稿サイト「YouTube」で公開され、公開から約3週間でグルメ編とアート編の2編合わせて視聴回数が2千回を超えている。
来年度、新潟経営大が観光経営学部を開設するのに向けてことし6月、新潟経営大と県、県央地域5市町村、燕三条地場産業振興センターで構成する平成27年度地域活性化モデル事業「大学と地域の協働による観光活性化モデル事業」協議会(渡辺保学長)が設立した。
協議会の事業として若者の視点で県央地域の観光を考えてもらおうと、新潟経営大の学生に公募して7月15日に「大学生による観光施策提言コンテスト」が行われた。2件の発表があり、その場で中島ゼミの2年生8人による企画「県央ぐるめぐりプロジェクト」が採択され、「“加茂ぐるめぐり”プロモーション・ビデオ企画」を開始した。
加茂のご当地グルメや観光スポットを紹介するPVを制作、YouTubeで発信し、加茂の魅力を若者に伝えて観光誘客を図るのがねらい。4、5月から加茂を歩いて新しい発見をし、加茂を知ろうと、ゼミ生はまちあるきを行っていたこともあり、すぐに企画、制作にとりかった。シナリオ、絵コンテを作成し、9月25、26日の2日間で加茂市にスタジオをもち映像制作も手掛けるオトノハコ株式会社=新潟市西区=が撮影。さらに同社が映像を編集し、11月3日にYouTubeで公開した。
シナリオを制作する段階でアドバイザーを務めた市内で「Bar Hero's」を営む田中洋志さんの提案もあって、無理に1本の動画に詰め込まず、グルメ編とアート編の2本に分けることにした。
グルメ編は6分56秒で新潟経営大の1人と提携校の新潟中央短大(加茂市)の2人の女子大生3人が出演し、青海神社に始まって商店街の7店舗を回って名物などを紹介。小京都戦隊加茂レンジャーも登場する。アート編は3分48秒。元ミス雪椿クイーンの藤川愛子さんと地元の女性書家、下田彩水さんが出演。加茂駅かを出発して田辺喜平商店、萬寿鏡ニゴロッサ、鈴木石太郎タンス店をめぐる。
出演者はグルメ編は浴衣、アート編は和服。和傘をアクセントにしたあでやかな装いで、“北越の小京都”とも呼ばれる加茂の趣のあるイメージを演出した。音声は収録せず、撮影中に出演者にインタビューした内容をテロップで表示。オトノハコ所属のフルート奏者、燕市PR大使でもある本宮宏美さんの演奏をBGMに使い、情緒あふれる仕上がりとなった。
11月6日に約80社が参加して新潟市内のホテルで開かれた新潟経営大主催の企業懇談会で、この動画のプレゼンテーションを行った。企業からもコンパクトで見やすかったと好評だった。ゼミ生は友だちへの口コミやSNSを使ったり、ラジオ番組に出演したりしてPVをPRしている。
撮影先ごとに担当者を決めた。「たなべのかりんとう」の田辺菓子舗を担当した佐藤亮太さん=新潟市北区=は「絵コンテの通りに撮影でき、最初のイメージをはるかに超えるものができた」、コロッケの難波商店を担当した石崎諒さん=新潟市西区=は「コロッケがおいしく見えるように撮影できた」、青海神社を担当した鈴木聖也さん=新潟市北区=は「全体的にテロップの位置とか、食べるときの間が良かった。学生らしさが出ていたし、スタートの青海神社の石段を上るシーンもうまくいった」と、ゼミ生には十分以上に満足のいく仕上がりだった。
中島教授は「学生は頑張った。夏休みも学校に呼び出したのは中島ゼミだけ」とほめる。2年生のゼミ生には、県央地域出身者がひとりもいない。絵コンテを持参して取材する店へ何度も打ち合わせに通い、ゼミ生が商店街の人や特産品を知ったことを評価する。「学生は制作のプロセスで故郷に目が向いたと思うし、それぞれの住む場所のまちおこしにも目を向けてほしい」と願う。
続編の制作が期待されるが、経費を伴うので、今後の制作は未定。ゼミ生は「加茂から外れた場所でも同じようなPVをやってもいいのでは」、「県央地域のおいしいものを発信していければいい」と話し、元は「県央ぐるめぐりプロジェクト」でもあり、対象を県央地域に広げた魅力発信にも取り組みたい考えだ。