三条ものづくり学校に12月6日、燕三条ミニ四駆大学がオープンする。三条市とのつながりを深めるミニ四駆のデザインも手掛けたことのあるデザイナー根津孝太さんを学長に迎え、ミニ四駆の常設コースを設置。燕三条地域で製造された工具を常備してミニ四駆を自由にカスタマイズしてもらい、ものづくりに携わる人がいつでも利用できるミニ四駆を媒介にした新しい学びの場が誕生する。
ミニ四駆は1982年からタミヤが販売している小型の動力付き自動車模型。今は第三次ブームが到来している。根津さんはトヨタでもデザインを手掛け、ミニ四駆でも「RAIKIRI」と「Astralster」の2車種をデザイン。三条市とダイハツ工業の共同プロジェクト「LOVE SANJO」のコーディネーターとして新型「コペン」の開発にも参加した。
初日6日はオープニングイベントとしてワークショップとセミナーを行う。ワークショップ「燕三条の工具で作ろう!マイミニ四駆ワークショップ」と題し、燕三条の工具でミニ四駆を作る。燕三条ミニ四駆大学の学長の根津さんと講師陣がサポートするので、初めての人も安心。スターターパックを使い、オリジナルデコレーションができるようにデコパーツも用意する。定員32人、参加費2,000円。
教室2つ半の長さの廊下を使った大きな特設コースで、ワークショップ参加者を対象にレースを行って表彰し、マシンの改造の美しさやアイデアを競うコンクールデレガンスも行って根津賞を贈る。ワークショップに参加しなくても午前10時から午後1時までフリー走行に自分のミニ四駆で参加できる。
セミナーは午後5時から開き、根津さんが「コミュニケーションはクリエイション〜プロダクトイン、マーケットアウトを超えて〜」をテーマに講演する。参加費は無料。定員80人で参加無料。
オープニングイベントを主催するのは三条ものづくり学校で、三条タミヤファンクラブ、略して「STC」が共催。会社社長中條耕太郎さん(45)=三条市=がSTCの会長に就く。中條さんは一昨年、三条ものづくり学校と同じ株式会社ものづくり学校(高山勝樹社長・東京都千代田区)が運営する世田谷ものづくり学校(東京都世田谷区)で開かれた「燕三条ものづくり ぐるっと体験フェスティバル」に三条シティセールス実行委員会の委員として参加した。
ものづくり学校の高山社長からミニ四駆で何かできないかと水を向けられた。中條さんは小学校入学前から飛行機のプラモデルが趣味だったもののミニ四駆との接点はなかったが、ミニ四駆大会を開き、高山社長の紹介で根津さんも見に来てくれた。
大会が好評だったこともあり、高山社長からミニ四駆を生かした事業の継続を勧められた。中條さんは一昨年、三条商工会議所青年部の会長になり、内部に地場産業ビジネスマッチング推進委員会を設置した。同委員会でその年の「燕三条 工場の祭典」で、根津さんを迎えてマルト長谷川工作所にミニ四駆コースを設置し、ワークショップを開き、以来、毎年開催している。
昨年4月にはSTCを発足。おとなの遊びとしてミニ四駆をとらえており、アフターファイブの楽しみをと正会員は社会人に限る。会員は16人になった。ことし9月、新潟市・DeKKY401で開かれたUXミニ四駆チャンピオン大会の運営に協力し、3日間の開催で毎日100人を超す大会参加者があった。大会後、コースに使った3レーンのサーキット6つを譲り受けたことから、三条ものづくり学校がミニ四駆の常設コースを設置して「燕三条ミニ四駆大学」を開校することにした。根津さんが学長なら、STC会員が非常勤講師となる。
「305」号室にコースを常設し、月曜に休む以外は毎日午前9時から午後5時まで開放する。あわせてミニ四駆のメンテナンスに必要な燕三条地域で製造されている工具を常備して自由に使ってもらう。おとなも子どもも遊びながら自然と燕三条のものづくりにふれることになる。
「ミニ四駆というツールを通じて燕三条のものづくりを知ってもらうきっかけになり、かかわりあう企業のものづくりの歴史、精神を見られる」と中條さん。「ミニ四駆はタミヤだけではできないし、三条の道具もミニ四駆のような媒体がなければ生きない。完成するキット、ものづくりのドラマ、それを融合してものができる」と考える。
当面、具体的には「季節ごとに大会を開いて年間チャンピオンを決めたりできればいい」。全国各地でミニ四駆ジャパンカップの大会が開かれているが、新潟県ではまだ開かれたことがなく、「三条で初めての新潟大会が実現したらようすが変わってくると思う。そのためにも地元の大会を地道に開いて実績を積み重ねたい」と夢を語る。
オープニングイベントのワークショップ、セミナーの参加について詳しくは三条ものづくり学校(電話:0256-34-6700、ファクシミリ:0256-34-6723、電子メール:sanjo@r-school.net)へ。