三条カレーラーメンで知られる老舗食堂「味方屋(あじかたや)」(三条市西裏館1)が12月31日で閉店し、76年におよぶ歴史の幕を閉じる。これまでの感謝の気持ちを込めて4、5、6の3日間は「ワンコインセール」と題して、カレーラメンとラーメンを1杯500円で提供する。
「味方屋」の店主は佐藤博保さん(76)。父の春次さんが昭和14年に本寺小路で一品料理の屋台の店を開いたのが始まり。旧味方村出身の人の屋台を春次さんが店名ごと引き継いだ。博保さんが小学3年生だった昭和23年に現在のJR北三条駅近く、西裏館1地内に店を構えた。
博保さんは高校を卒業すると東京の料理屋で修行していたが、春次さんが足を悪くしたため、昭和38年ころに三条に戻って店に入り、現在の中華そばやカレーラーメンを提供する食堂形式となった。
当時は鍛冶屋がたくさんあった。職人たちは朝早くから夜10時、11時まで当たり前に働き、夜食にラーメンを食べて頑張った。ラーメンが1杯30円から40円の時代。カレーラーメンは10円増しくらいで高かったが、夏は食欲が出て、冬は体が温まると人気だった。博保さんは当時の忙しさを思い出す。
妻のトシさん(73)と2人で営業してきたが、トシさんが腰を痛めたことなどから、ことしの夏に閉店を決めて準備してきた。博保さんは「ふつうだったら静かにやめるんだろうけど、今までもワンコインラーメンを2,3度やっていて、喜んでもらっているから」と、4、5、6日の3日間限定で、800円のカレーラーメンと600円のラーメンをいずれも500円で販売する。営業時間は昼は午前11時から午後2時まで、夜は午後5時から8時まで。定休日は8のつく8日、18日、28日。
博保さんは「これまで多くの皆さまに支えられ、営業してこられましたこと、心より感謝しています。本当にありがとうございました」と感慨もひとしお。父の代から76年、博保さんが店に入って約52年の三条の人気店「味方屋」は残り1カ月足らずでのれんを下ろす。