漫画家の故赤塚不二夫さんが中学生時代を過ごした旧潟東村にある潟東歴史民俗資料館(中島栄一館長・新潟市西蒲区三方)で4日から来年1月11日まで赤塚不二夫生誕80周年記念展が開かれている。地元に残る赤塚作品が展示され、中学生のときに赤塚さんが描いた貴重な画帳が初公開されている。
赤塚さんの本名は「藤雄」で、1935年(昭和10)に今の中国東北部、満州に生まれ、生きていればことしでちょうど80歳。終戦後、母の実家のある奈良県奈良市へ移った。父、藤七さんが生まれ育った実家のある旧潟東村大字井随に移り、四ツ合中学校に通った。中学を卒業すると新潟市の看板屋で働き、18歳で上京するまで新潟で過ごした。
展示している画帳は四ツ合中学時代に描かれたもので、中には「昭和廿五年二月三日以来」ともある。拡大したものを展示して全ページを見られる。A5判の表紙に「記念帖」「赤塚藤男漫画集」とあり、ペンネームというわけか、本名の「雄」の字を「男」に変えてある。
当時、人気だった漫画のキャラクターや映画のポスターの模写と思われるものが描かれているほか、「かおのいろいろ」と題したページでは吹き出しとともにさまざまな表情をした顔が描きわけており、まさにデッサン集だ。
今回の記念展は、同資料館の独自企画。生誕80周年にちなんで地元に残る赤塚さんの作品を展示しようと、同資料館が所蔵する赤塚さんの作品以外はすべて地元の個人の所有者から借りた。
画集も所有者を探すなかで見つかったもので、所有者は赤塚さんの友だちで、赤塚さんから直接、もらったと言う。「これを持っている人以外は、この存在を知らなかったのでは」と中島館長。「画集は中学生のころから赤塚さんが漫画家を目指していた証拠になる大変、貴重な資料」と話し、この画集を展示できたことで思いがけず大きな注目を集める企画展となっている。
このほか、91年に同資料館の開館を記念して赤塚さんが制作、寄贈した200×160センチのの特大直筆キャラクターパネル2点をはじめ、赤塚さんがキャラクターを描いた色紙など約30点を展示。コミックも展示している。
午前9時から午後4時まで開館、月曜と年末年始の29日から1月3日まで休館日。入館料はおとな500円、子ども300円。問い合わせは同資料館(0256-86-3444)。