燕市新春賀詞交換会が4日、燕市吉田産業会館で開かれた。燕市と燕商工会議所、吉田と分水の商工会の主催で毎年開かれており、政治家や経済人、経済団体や行政が一堂に会して新しい年をスタートしており、ことしは過去最多だった昨年の199人をさらに上回る213人が参加した。
鈴木力市長はあいさつで昨年を振り返り、ふるさと納税が県下断トツ1位の5億円を超え、燕市の工業出荷額が5年ぶりに4,000億円台を回復、東京ヤクルトスワローズとの交流事業が進んでヤクルトもリーグ優勝を果たし、「それぞれ取り組んできた事業が実を結ぶことを実感できた年」と評価した。
ことしを「第2次総合計画をスタートさせる年」で「地方創生を加速化させる年」と位置付けた。産業振興では、創業支援で企画、デザイン、ITといったクリエイティブな能力をもっている人とものづくりを結びつける人を呼び込み、根づかせる取り組みができないかと考えており、とりあえず新年度はアイデアソン、ハッカソンを行ってハード事業に将来的に結びつけたい。
TPPで厳しい状況にある農業は「昨年、始めたチャレンジファーマー事業を拡充しながら厳しい状況のなかにあっても付加価値のある農産物を作る販路開拓に取り組む農家をしっかり応援したい」。
2年目に入る「東京つばめいと」事業では、市内企業とのマッチングやインターンシップをからませ、なんとか都会に出て行った若者たちをこちらに戻ってくる流れをつくっていく。
女性が輝くプロジェクトでは、初年度に好評だった事業を継続し、燕で活躍する女性に光を当てる事業ができないか、具体的には日経ウーマンのウーマン・オブ・ザ・イヤーの燕市版を検討できないかと担当者に考えてもらっている。
教育は、キャリア教育に力を入れる段階に入れることに期待。医療、福祉はいろんな相談支援体制の充実を図り、介護人材を確保するための支援などいくつか地域事業を取り組みながらさらなる充実を図りたい。空き家・空き地対策は燕市は全国手にも先進的な取り組みを進めているが、充実を図るとともに道路の維持補修にも計画的に取り組みたい。
ことしは十干十二支で丙申(ひのえさる)の年に当たり、“丙”は形が明らかになっていく、“申”は物事が進展して果実が熟すという意味があり、丙申の年は大きな花を咲かせるというところまではいかないが、こつこつと積み上げてきた努力が実を結び、形になっていく年になるということで、「燕市もぜひそういう年にしたいなと考える」。
夏にはリオ五輪が開催されるが、2010年の東京五輪では「合宿誘致には近いうちに何かうれしいニュースが飛び込んでくるかも知れないという期待をもっている」と手応えがあることをほのめかした。最後に「燕市が五輪の金メダルのようにきらきら輝くまちを目指して少しでも形になっていくような年にしたいと職員一丸となって取り組むことを誓う」と締めくくった。
田野隆夫燕商工会議所会頭は毎年、燕、三条、加茂の商工会議所の情報交換会を開いているが、地元の吉田、分水の商工会との会合、商工会員に還元できるような施策を実現したいとした。市民がひとつになれる施策を商工業界もできるところからやるべきで、ことしの最重要課題として取り組む。
昨年が2回目だった燕三条地場産業振興センター主催の「燕三条ものづくりメッセ」は非常に喜ばれているが、ものづくりだけでなく、商業の地場問屋があり、燕の商業卸団地や三条地区も含めて、全国にものを販売している事業者で加茂も巻き込んで一大イベントをやるべきとした。
消費税が8%に上がって「強烈な反動が起き、とんでもないことが起き、年末まで全然だめ」だった。消費税増税は「国民の懐に、合法的な振り込め詐欺のようなもの」、「法律に基づいた国民を徹底的にいじめる政策」と政権批判ではないとしながらも政策を痛烈に批判した。
国債の利息はわずか0.3%だからのんびりしたことが言っていられるが、米国並みの2%、3%の国債金利が上がると、国民の納めた税金が全部、国債の利息に消える。「そのときに日本は第二の敗戦を迎えると言われる」と危機感を募らせた。
一方で法人税が下がっていることについては、税金を取らないかわりに従業員のベースアップや設備投資に充ててほしいと安倍首相が懸命に訴えているとし、「それが失敗したらおそらく上向いている経済がまた下降曲線に入ると非常に危惧している」。
失敗に終わらせないためにも、「われわれ企業家が歯を食いしばってなんとしてもサラリーマンのベースアップをする」。「自分のいちばんかわいい社員、全然、罪のない社員が国の政策で年間3%で4万円から5万円、今度2%上げられると3万円から4万円くらい消費税だけで家庭負担が増える」、「いちばん自分がかわいがる社員を救ってやるというか、自分の給料を下げてでも社員の給料を上げるというふうに燕の方々に強く訴えてまいりたい」と自ら決意を示した。
地元の金融機関に対しては「金融機関に見捨てられたような企業もわたしども商工会議所の会員のなかにたくさんいる」と指摘し、「創業支援よりも今ある企業をつぶさずに雇用を守る方がわたしははるかに大事」で、「今ある企業にアイデアを出し、まめに相談に乗って、今ある企業の存続と支援を心からお願いしたい」と求めた。
来賓の桜井甚一県議と高倉栄県議が祝辞のあと、美内信孝吉田商工会会長の音頭で乾杯。昨年に続いて市内で製造されている金属酒器による乾杯推進運動に伴ってステンレス製のビアゴブレットを使って乾杯。最後は田中公一分水商工会会長の音頭で万歳三唱して締めくくった。
ことしはこの日から国会が招集されたため、国会議員は本人の出席がなく、あいさつがなかった。昨年はあいさつの時間が長過ぎて参加者同志で満足に新年のあいさつ、交流ができなかったと不満の声が上がったが、ことしは図らずもあいさつに費やす時間が短かかった。