県は19日午後2時から弥彦総合文化会館で「着地型観光のすすめ〜地域が売り込む観光地を目指して〜」をテーマに弥彦村では初めてとなる知事とのタウンミーティングを行った。大荒れの天気にもかかわらず320人が来場して着地型観光としての弥彦の可能性などを考えた。
今年度4回目のタウンミーティングで、弥彦村での開催はこれが初めて。冒頭のあいさつで泉田裕彦知事は、昨年は地方創生元年と言われ、地域づくりが進むなか「観光は地域によって宝物を磨くことにより地域の可能性を大きく広げてくれ、加えて雇用も生み出してくれる」と話した。
日本の外国人旅行者が昨年は2000万人弱と急激に伸び、自身も大型連休で京都観光をしたが、東大阪市でないと宿がとれない状況だった。ゴールデンルートの「東京に入って秋葉原、ディズニーランドを見て富士山によって関西に抜けて帰るパターンはもう限界」。
縦のゴールデンルートも重要で「新潟に入って弥彦に寄って爆買いをして温泉と食事を楽しみ、雪遊びをして東京から帰っていただく、こういうルートをというものを今後、物理的に収まらなくなると必然的にチャンスもめぐってくる」とし、「それぞれの地域が元気になることで地域の力を上げていくきっかけになるかなと思う」と観光に期待した。
小林豊彦村長は、弥彦神社には年に135万人前後もの参拝客があり、他市町村からうらやましがられるが、「通過型の観光地としてしか遇してこなかった。これは長年、弥彦村が抱えている大きな課題」とし、「弥彦村の小学生や村民の代表の皆さんの話をぜひ知事に聞いていただき、弥彦村のチャンスにしたい」と願った。
弥彦小学校の6年生4人が、総合的な学習で「弥彦タイム」と呼んで活動してる「もの、こと、ひと」を通して弥彦を考えることを目標に学年ごとに取り組んだ成果を発表してからパネルディスカッションに移った。
パネリストは燕市出身で「弥彦明るい未来を考える会」代表で書道家の田中健二さん、弥彦に生まれ育った「弥彦おかみ会」代表、で旅館のおかみの川上志保さん、富山県出身でJTB総合研究所主任研究員の岩崎比奈子さん。泉田知事をコーディネーターに進めた。
泉田知事は、インフォメーションと観光案内所の違いにふれ、インフォメーションはツアーの予約もとれ、ツアーを動かす人の職ができ、いろんな人の情報と発信の集積地にもなると説明。着地型観光が有効なのは、交通の結節点と温泉地のふたつがあるとした。
弥彦の可能性は終着駅と温泉地という宿泊地ももっていることで、着地型観光は発着地にとっても、送り込まれる人にも魅力があり、働く場の確保にも着地型観光はひとつのキーワードになるとの考えを示した。
田中さんは「弥彦明るい未来を考える会」で昨年4月に行った弥彦参宮通り祭りなどの活動、川上さんは弥彦の魅力となる物や商品について、岩崎さんは着地型観光のポイントなどについて話してから議論を深めた。
泉田知事は、外国人にとっては「車で行っても鳥居をくぐるし、電車で行っても鳥居をくぐるというのは、弥彦の魅力」という視点を提供。岩崎さんの話を受けて「観光物の評価でなくイメージ戦略として地域の評価をもらうことによって可能性が広がる」とした。
また、田中さんは「知事がいらっしゃってるので」と温泉街の美観や歩きやすさのために電線の地中化を要望。パネルディスカッション中に吹雪が原因と思われる停電が発生したことから「きょうのように雪が降っても多分、停電しない」と笑わせた。
これに対して泉田知事は、地中化は「県道なら県が金を出すほかに、電力会社と電話会社が応分の負担をすることになっているが、東日本大震災で東北電力が被災し、財務体質がいたんでいて、地中化に本来、出す部分の金が出せないという状況があり、それで地中化ができない」と事情を説明。しかし、原油の値段が下がっているので、財務体質の改善に期待しており、「村長とも協力してタイミング良くこのスキームに乗っけることが必要」で「宿題として持ち帰らせていただきたい」と答えた。
タウンミーティング後、泉田知事は「弥彦で着地型観光をトライアルしてみるきっかけになってほしいと期待する」と話した。