三条シティセールス実行委員会は1月30日、三条東公民館でセミナー「地域の資源を引き継いでまちの魅力発信〜里山プロジェクト、事業継承が地域を救う可能性〜」を開き、月刊『ソトコト』編集長の指出一正(さしで かずまさ)さんと三条市ではおなじみの奥谷商売研究所代表の奥谷敦子(おくたに あつこ)さんによるパネルディスカッションを聴いた。
地域の宝となる資源を人の力で引き継ぐことで、元気なまちをつくっていく。まちの魅力を発信し続け、鍵となる里山プロジェクトと事業継承について考えてもらおうと開いた。奥谷さんはたびたび三条市で経営や起業に関するセミナーを行っており、奥谷さんのつてで指出さんとともに講師を務めた。
指出さんは、雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て、ロハス発祥の地と言われるアメリカ・コロラド州ボールダーや、アフリカ、アイスランド、中国の現地取材を担当。昨年8月にスタートした広島県の中山間地が抱える課題を首都圏の若者と一緒に解決する「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」の全体統括メンターを務める。
指出さんはさまざまな事例を基に話した。民芸運動から生まれた越中和紙には20代、30代の後継者がたくさんいることについて、昔のように大企業で大きな力を誇りに思うのではなく、「自分が何を作っているのか、ちゃんとわかる仕事がしたかったと言う」。「見える化が大事」で、そういうクリエイティブな人たちが集まってくる。
この日は板金加工の板垣金属株式会社=三条市一ツ屋敷新田=を見学して、「現在の会社を支えるプレス加工と、新しい展開のレーザー加工の両方をもっているのがすばらしい」、「継承だけに頼ってはいけない」。
DIYの精神でまちづくりを進める米国・ポートランドは、イノベーションをおしゃれにし、ものづくりは新たなイメージをもった。
廃ガラスと観葉植物を組み合わせた「ハコミドリ」を手掛ける女性は、次々と若い人たちが地元に戻っているようすを見て「これにのらない手はない」と、滋賀県東近江市に戻って始めた。「仲間に入りたい人がのぞき込んでいる状態。仲間に入れてもらいたい人が増えている」。
そんな魅力的な地域づくりを進めるためのキーワードのひとつが「変な人が集まる場所をつくること」。指出さんの豊富な知見には、まちづくりのヒントがぎっしり詰まっていた。
30人近くが来場し、その多くが指出さんの話を聴きたいと参加した。質疑で高校生3年生の女性は来年、大学へ進学するが、留学先のお勧めを聞くと、指出さんは自身が留学したイギリスのスコットランドを紹介した。
三条にスポットを当てた小説を書きたいという女性は指出さんにアドバイスを求めた。キャラクターデザインを目指す大学3年生の子どもを励ます言葉を教えてほしいと言うお父さんに指出さんは山形県朝日町をPRするキャラクター「桃色ウサヒ」を紹介し、それぞれの質問にていねいに答えていた。