田上町で19日、町の花のアジサイにちなんで「田上あじさい交差点」と名付けた県内初の環状交差点「ラウンドアバウト」が開通。町の観光資源やラウンドアバウトの通行体験への活用が期待される。
午後2時から現地で関係者ら30人余りが出席して開通式を行い、佐藤邦義町長は式辞で、たびたび事故のあった交差点が安全なもの生まれ変わり、人にも環境にも優しい交差点で「優しさと豊かさできらりと輝く町たがみを基本目標とするまちづくりにも弾みがつくと期待する」、「交差点と同様に県内初となる重点道の駅や国道403号バイパスの整備との相乗効果を生む工夫をしてまちのランドマークに育てていくことが必要」と述べた。
来賓の泉田裕彦知事は祝辞で、道交法の改正でラウンドアバウトが設置できるようになっても県内では通行する機会がなかったが、全国どこでも安心して運転できる。信号機がないのでメンテナンスフリーで環境に優しいとし、「大勢の人、とくに(ラウンドアバウトを)通行したことのない人が訪れていただき、一度は経験していただければ」と求めた。
自身もカナダに住んだときにラウンドアバウトを利用して利便性の高さを実感。「社会でこのラウンドアバウトが定着し、増えていくことで交通安全につながり、かつ人と環境に優しい国になっていく、その先駆けになることを祈念する」と述べた。
ラウンドアバウトのなかで8人でテープカットを行い、風船を飛ばしたあと、パトカーを先頭に関係者の車が1台ずつ、新潟市南区方向からラウンドアバウトに入って1周半して直進となる湯田上温泉方向へ進行する交通安全パレードを行い、4時に開通した。
田上町のラウンドアバウトが設置された場所は、国道403号バイパスから一本西側を走る町道と、信濃川に架かる庄瀬橋と国道403号に面したコメリハード&グリーン田上店角を結ぶ町道の交差点。これまで信号機付交差点だったが、田んぼに囲まれた見通しのいい交差点にもかかわらず車同士の事故が多発していたため、安全で円滑に通行できるようすることと、ドライバーがラウンドアバウトの通行を体験できることを目的に県が設置して町に引き渡し、町が管理する。総事業費は1億7,200万円。
ラウンドアバウトは、円形になった道路に徐行して入り、時計回りに走行して進みたい方向へ左折で抜ける。駅前ロータリーに複数の道路が接続したようなイメージだ。車道の外周に自転車通行空間、内周に車道に入りきらない大型車が利用するエプロンを設置。ラウンドアバウトから延びる道路に向かって東西南北に「湯田上温泉」、「新潟市南区」、「湯田上温泉」、「新潟市秋葉区」を指す標識が立つ。
全国では15都府県の49カ所にラウンドアバウトが設置され、県内では3月31日に新潟市西蒲区角田浜に2カ所目のラウンドアバウトが開通する。4時の開通が近づくとラウンドアバウトに向かって次々と車が集結。ラウンドアバウトはちょっとしたラッシュのように次々と車が通行し、いったん通過してから引き返してもう一度、ラウンドアバウトを体験するドライバーも多かった。