三条市立栄中学校(五十嵐和義校長)は18日、同校で「職業人に学ぶ会」を開き、1年生96人から燕三条青年会議所(相場健一郎理事長)に依頼した講師11人によるワークショップをまじえた授業を選んで聞き、体験してもらった。
講師は燕三条JCの現役会員とOBで、金属加工業をはじめ、日本料理店、保険業、写真店、バー、アウトドア用品メーカーなどさまざまな業種で働く人たち。11人は各教室に分かれていっせいに授業を行い、それを2回繰り返した。1年生はそのなかから好きな授業を選び、ひとりが都合2つの講演に参加した。
シェーカーを振ってノンアルコールのカクテルを作ったり、文房具と作業工具を組み合わせた新商品を考案したり、金属にメッキを施したり、テントを組み立てたり、ネイルを体験したりと講演と同時にワークショップで仕事の一端を体験した。
日本料理の株式会社明治屋(燕市秋葉町4)の大橋和明さんの講演では、大橋さんが若いころは映画監督を目指し、父の仕事を見て客を楽しませるという意味では、映画も料理店も同じではないかとあとを継いだことなどを話すとともに、だしを使ったみそ汁と使わないみそ汁を飲み比べてうま味成分を感じてもらった。
この授業を受けた1年生渡辺明里さん(13)は「人生経験や学校が大切なことがわかった。お客さんのことを考えるのは大変だけど、仕事に慣れれば楽しい仕事かなと思った」といろいろなことを感じ取っていた。
同校では毎年、職業人に学ぶ会を開いており、数年前から燕三条JCに講師派遣を依頼している。これまでは講話だけだったが、ことしは初めてワークショップを取り入れた。きっかけは、職業人に学ぶ会を担当した荒井哲夫教諭が昨年10月に開かれた燕三条JC主催の「つばさんキッズフェスタ」に小学校3年生の長男と参加したこと。会場で行われていた職業体験を中学生にも体験させたいと、すでにワークショップを取り入れた授業を行っている下田中学校にもノウハウを学んだ。
「ラーニングピラミッド」という学習定着率のデータでは、「聞く」の定着率は5%なのに対し、「実践的な練習」は75%にもなる。2年生は職場体験を行っており、そこで体験した職場で働きたいと考えるようになる生徒もいる。荒井教諭は「中学生のうちからいろいろな職業に出会って職業について考えるきっかけになれば」と期待した。