燕三条地域の工場を一般に開放する「燕三条 工場(こうば)の祭典」がことしは10月6日から9日まで開かれる。それに向けた参加事業者募集説明会が23日、燕三条地場産業振興センターリサーチコアで開かれ、参加を予定する事業所から25人ほどが出席した。
ことしで4年目になり年々、全国的な注目も高まっている。昨年はこれまでで最多の68の工場が参加し、1万9,312人もの来場者を集めた。開催まで半年以上があるが、参加申し込みは3月11日締め切り。その前に参加事業者に向けた説明会を開いた。
ことしの実行委員長の燕市・玉川堂の番頭、山田立さん(42)と事務局の燕三条地場産業振興センター職員が事業概要や募集要項を説明した。ことしの新たに「耕場(こうば)の祭典」と銘打って農業の現場の開放に取り組む。昨年からすでに農家の参加があり、種はまかれていた。
ことしはさらにそれを推進させるもので、説明会では「もとまちきゅうり」の生産で知られる燕市吉田本町、ひうら農場の樋浦幸彦さん(38)が昨年の工場の祭典に参加して収穫体験を行ったり、バスツアーを受け入れたりした事例を話した。
農家は15件ほどの参加を見込んでおり、山田さんは「この地域には食にまつわるものづくりの企業が多いが、実は足元で何が作られているのか知らない。地域の飲食にかかわる人たちといろいろな接点ができることで新しい展開が生まれ、地域の発信力が増すのでは」と期待。耕場を見せる具体的な手法はこれからの検討だ。
また、「ものをつくっていないけれどデザインをしている、工場はなくても商品を見せたいという人からも何らかの形で参加してもらえるようなことも考えていきたい」と言い、ことしの工場の祭典は助走から離陸へと向かうこれまでで最も大きな転換をもたらす。
参加者は参加経験のある事業所からが半数以上で、あらためて内容を確認していた。板金溶接業の燕市大川津、株式会社大倉製作所の大倉龍司社長は、初めて参加しようと説明会に出席した。「飲み会の席で社員から工場を公開した方がいいと言われ、工場の祭典に参加してみようと思った。ものづくりは絶対に楽しいので、そのことを子どもたちに知ってほしい」と、ハードルは高いが子どもによる溶接の体験をねらう。
地元分水地区では全国にも知られる名物行事「分水おいらん道中」が行われており、それにちなんだ趣向も考えている。