ことしで活動30年になる三条市在住の現代アート作家、馬場まり子さん(74)の初めての画集『ピンク幻想』が、このほど刊行された。
馬場さんは、1941年広島県広島市生まれ。4歳になった45年、広島に原爆が投下される数カ月前に父の郷里、秋田県秋田市へ疎開した。10歳のとき、父が新潟大学教育学部教授となり、新潟市に転居して市内の学校に通い、新潟大学を卒業。65年に24歳で結婚し、夫の転勤で秋田市や新潟市に住み、73年から夫の郷里の三条市に転居し、主婦として過ごした。
86年、45歳でいきなり作家活動を始めた。画集のなかで馬場さんは、何の不自由も不満もない恵まれた日々を送っていたのに、「どうしたことか、自分でもわからない何かに、うしろから押されて、アートの世界に入ってしまった」と、創作に取り組むようになったきっかけを言葉にしている。
東京で個展を開き、作品の発表を続けている。画集はA4変型、266ページ。86年の第1回個展で発表した作品「小麦粉」から、2014年から2015年に発表した「ピンク幻想」のシリーズまで、小麦粉や紙、布、平面や立体などの方法で表現したインスタレーション作品など189点を収める。
最初の章の「小麦粉」の真っ白な世界から始まり、明るい色調と柔らかなタッチを中心に人や風景、植物などをモチーフに表現した30年の軌跡をつづる。たくさんの人が描かれており、その表情や雰囲気は豊かで、暮らしの温かさが伝わるよう。三条とわかる風景のある作品も掲載されている。
株式会社求龍堂=東京都千代田区=発行で定価5,400円。全国の書店で取り扱っており、本県では知遊堂三条店と亀貝店、ジュンク堂書店、文信堂書店ブックセンター長岡、紀伊国屋書店新潟店などで販売されている。