東証マザーズ上場からわずか1年で東証一部上場を果たした株式会社スノーピーク(山井太代表取締役・本社三条市中野原)は、このほどジオ・ワールドビップでその記念式典と祝賀会を開いて関係者やユーザーの支援に感謝し、出席した400人近くは躍進を続ける同社の偉業を祝福した。
マザーズ上場のときと同様に太鼓芸能集団「鼓動」の演奏で幕を開け、代表取締役の山井氏ががあいさつした。山井氏は、東証マザーズに上場したときに、できるだけ近い将来に一部に行くとコミットして、ちょうど365日後のちょうど1年で一部上場を果たしたことについて、同社は手形を切らない会社だが、「スノーピークは約束手形をちゃんと落とした」と笑わせた。
一部上場の決意を話した。3年ほど前までは登山用品やキャンプ用品でのリーディングカンパニーを目指した。同社のビジネスの本質は、人間性の回帰というミッションだったが、日本のキャンプ人口は800万人弱で全人口の6%でしかなく、「どんなに頑張っても日本の人口の6%しか癒せない」。むしろ人間性の回帰や癒しが必要なのはそれ以外の94%の人で、「今後はアーバンアウトドアという言葉を使っていろいろな都市に出向いて非キャンパーを癒すことをビジネスの柱にしたい」。
アウトドアとアーバンアウトドアをブリッジする形でアパレルを展開しており、「その3つの柱でこれから大きく成長し、いっそう人間性の回復を必要な社会情勢のなかでわれわれの存在理由も高まっているので、しっかりと社会的な役割を果たしていきたい」、「スノーピークはやっとこれでスタートラインに立ったんだなと思っている」と気を引き締め、いっそうの支援を求めた。
SMBC日興證券株式会社の青木英之執行役員企業公開投資銀行本部長ら3人に感謝状を贈呈して、来賓祝辞。菊田真紀子衆院議員は、東証マザーズ上場からわずか1年での東証一部上場にのぼり詰めたことに「心から山井社長さんに拍手を送り、わたしも誇らしく、胸が熱くなる思いがした。目標と戦略を明確に定めてアウトドアファンが何を求めているのか唯一無二の製品づくりに徹してきた結果で、本当にすばらしい」と祝福した。
「スノーピークというアウトドアの聖地が新潟県のインバウンドを押し上げ、地域経済の活性化と発展につながっている」とし、「これからも日本中の人々に、世界中の人々にすてきな夢やあこがれ、ロマン、そして野遊びをプレゼントしていただきたい」と願った。
泉田裕彦知事は、営業利益が1年間で2.5倍、売り上げも40%増の同社の成長に「またっく不況の“ふ”の字もない」、それは「ユーザーに支持される商品を的確に販売する体制とネットワーク、企業力がこの結果をもたらしていると思う」と称賛した。
「新潟の企業家に夢を感じさせる、また夢をつかみ取ることができる大きな目標になっていただいた」、「地域経済に大変、大きく貢献している。県の政策のなかでも地域、中核企業を押し上げることによって地方創生を成し遂げていこうという基本的な考え方があり、ぜひスノーピークさんにはどんどんもうけていただいて、税金も払っていただいて」とジョークもまじえて同社にかかる期待の大きさを話した。
見附市にある新潟県中部産業団地を同社購入したことに「お買い上げいただきました。誠にありがとうございました」と笑わせ、「スノーピークから、三条から、新潟県から地方創生の波が起きていくことを祈念する」と述べた。
国定勇人三条市長は、「山井さんのことを心底、お兄さんだと思っている」とし、山井氏は「ただ単に規模を追いかけている人ではない」、成長を続けるためには「下田の人に受け入れられる企業にならなければいけないと言っていた」が、地元の集落が同社の本社移転に感謝し、「心の底から同じ住人として階段をのぼっていくのを誇らしく、同じ同志として感じている」と紹介した。
「山井さんをはじめとするスノーピークのすばらしい社員の皆さまの導きのもとで、わたしたち三条がともに発展していくことを祈念するだけではなく、行政のトップとして、ともに山井さんと同じ北極星を見て、前を向いて歩いて行くことをこの場でお誓い申し上げる」と述べた。
新潟県経済同友会の池田弘筆頭代表幹事、経済産業省の鍜治克彦関東経済産業局長、斉藤弘文三条商工会議所会頭の祝辞のあと同社のペグハンマーで鏡開きを行って祝賀会に。最後は東証マザーズ上場のときもそうだったように山井氏の母、会長のトキ氏ら同社にかかわる家族も登壇して締めくくった。