東日本大震災から5年になるのを前に5日、震災直後から避難者を受け入れている三条市で、ことしも東日本大震災追悼式典が行われ、避難者や市民約100人が参列して犠牲者を追悼し、被災地の一日も早い復興を願った。
さんじょう∞ふくしま「結」の会が主催。ことしも三条市総合福祉センターの1階ロビーに献花台を設け、国定勇人市長をはじめ、三条市に避難している人など市内外の避難者、三条市民などが参列。被災地の方角に向かって全員で黙とうをささげ、避難者代表と国定市長が追悼の言葉を述べ、献花した。
避難者を代表して、福島県南相馬市から避難し三条市に暮らす新潟大学教育学部1年の木幡聖凪さん(19)が追悼の言葉を述べた。
震災や津波、原子力発電所の事故は悲しいもので、避難したことは決していいとは言えないが見方を変えると、今後につながる経験をしたのではないかと前向きにとらえた。
「東日本大震災がなければ出会わなかった人たちがたくさんいます。せっかく出会えたのだからこれからもつながっていきたいです。一度みんなでつらいことを乗り越えたのだから、またなにか困ったことが起きたとき一丸となって立ち向かえる仲間だと思います。これからも支え合っていきましょう。今まで本当にありがとうございます、これからもよろしくお願いします」と話した。
国定市長は追悼の言葉を述べ、「三条市としては、避難者の皆さんがどの道を選ぼうとも、生活再建に対し、一定のめどがたつまで全力で応援することをあらためてお誓いします」。
さらに、震災から1年のときは272人が三条市に避難しており、この3月は125人と話し、「これまでに新たな場所でスタートされた方、これから三条市とで新たな一歩を踏み出されようとする方々の未来が力強いものとなることを心から願っています」と話した。
穏やかな晴れ間が広がったこの日、東側に設置された献花台に春の日差しが差し込むなか、参列者一人ひとりが白いキクの花を手向けて手を合わせた。
式典に続いて「あたたかく支えてくださった方々への感謝とそれぞれの道を歩み続ける決意を込めて」との思いを込めた交流事業に移り、結の会の佐竹紀代表から、震災から5年に渡り支えてくれた国定三条市長や兵庫県豊岡市の中貝宗治市長をはじめとする23人・団体に感謝状と記念品を贈呈。三小相承会の追悼演奏が行われた。
参加した人たちの中には、久しぶりに会う人たちも多く、成長した子供たちには「大きくなったなー、今度6年生か」などと声をかけ、目を細めるとともに、確実に歳月が流れていることを感じていた。