全国に現存するなかで唯一、実演可能な「のぞきからくり」を保存する新潟市西蒲区で6日、「のぞきからくり保存伝承活性化からくり応援団プレ大道芸フェスティバル」が開かれ、のぞきからくりをはじめ浅草雑芸団、赤鏥神楽舞保存会、月潟のおはなしの会、角兵衛獅子囃子の会による出し物が披露された。
のぞきからくりは、口上師の語りを聴きながら凸レンズごしに屋台に組み込まれた遠近感のある絵を紙芝居のように入れ替えて見る。江戸時代後半から昭和初めにかけて全国で盛んに行われた見せ物だった。
1975年に西蒲区の旧巻町で「幽霊の継子いじめ」ののぞきからくりが見つかり、修復して翌年に披露された。さらに絵だけ残っていた「八百屋お七」の屋台を12年に新調した。
14年度から3年間、新潟市の西蒲区特色ある区づくり事業として「のぞきからくり」保存伝承活性化事業に指定され、保存、伝承、普及、活性化に取り組んでいる。来年度は集大成の3年目で、10月に巻の商店街で開かれる「多加良まつり」で大道芸フェスティバルが開かれ、のぞきからくりも上演される。
それに向けたプレ大道芸フェスティバル。初年度から「のぞきからくり探求講座」を開いており、33人が受講。屋台の組み立てや口上の練習を積んでいる。この日は「八百屋お七」の屋台の組み立てを見てもらい、受講生が「八百屋お七」と「幽霊の継子いじめ」の口上で練習の成果を披露した。
東京から招いた日本の大道芸を研究、実践、復元、再構成などする浅草雑芸団は珍浄瑠璃の「八百屋お七」で笑わせ、南京玉すだれや踊り、開演前もチンドン楽団を披露して盛り上げた。
地元からは西蒲区の旧巻町の赤鏥神楽舞保存会が獅子頭を使った洗練された舞を披露し、南区の旧月潟村から月潟おはなしの会が演劇仕立てで昔話「初めて見る鏡」、同じく角兵衛獅子囃子の会は昨年度、復元したばかりの角兵衛獅子の囃子を披露。約350人が来場し、それぞれの出し物を時間を忘れてたっぷりと楽しんだ。