三条市立保内小学校の5年生26人は11日、東日本大震災で三条市に避難している人を元気づけたいと自分たちで育てたコメを避難者に贈った。受け取った避難者は児童に、礼とあわせて「家族を大事に」、「一日一日を大切に」などの言葉を贈った。
東日本大震災からちょうど5年となった午後、三条市総合福祉センター内の避難者交流ルーム「ひばり」で行われた東日本大震災献花式に、5年生と震災や原発事故の影響で今も三条市内に避難している人や市民など30人余りの合わせて約60人が集まった。
保内小では東日本大震災が発生した年に児童が栽培したコメを義援米として避難している人たちに寄付して以来、毎年、コメの寄付を続けている。この日も児童から避難している人に、昨年の4月に田植えをして育てたコメ「保内のめぐみ」2キログラム入り56世帯分を手渡したあと、児童による宮沢賢治の「雨ニモマケズ」などの詩の音読、リコーダー演奏、合唱、手拍子の音楽パフォーマンスを披露した。
福島県南相馬市から避難している千葉広美さん(46)と長女の紗也夏さん(15)親子は、震災当時のことなどを話した。
逆に小学生から80歳までの避難している人たちから、保内小児童に言葉をもらった。「久しぶりにかわいい声が聞けてうれしく思いました」、「子どもたちが大きな声で騒いで遊んでいるのがなにより」、「家族を大事に笑顔ですごして」、「家族、とても大切です。思いやりを持って過ごしてください」などと話した。
ゲームをするなとかいつもがみがみいってしまうという小学生のお母さんは「皆さんも愛されている気持ちをわかっていただけるとうれしいです」、「お母さんやお父さんの言うことを聞いて、元気で過ごしてください」、「辛いことがあってもあきらめないで頑張ってください」、「今、自分ができることはしてください。とても勇気をもらえた」、「家族を大事に。おはよう、おやすみとか、何気ない会話ができるのは限られていると思い、しっかり伝えて」、「震災があったことを忘れないでほしい」などと話した。
児童たちは、震災当時の話やお礼の言葉、逆に勇気づけられるようなメッセージに、うなずいたりしながら、話してくれる人の顔をじっと見て聞いた。このあと、ひとりずつ献花を行い、震災の発生した午後2時46分に黙とうをささげた。