三条市成人式に810人が出席して二十歳の門出を祝う (2016.3.22)

平成27年度三条市成人式が21日、燕三条地場産業振興センターで行われ、1995年4月2日から96年4月1日までに生まれた対象者、男性523人、女性539人の計1,062人の76.2%に当たる810人が出席して二十歳の門出を祝った。

三条市成人式

式辞で国定勇人三条市長は、「この素晴らしい輝かしい門出に心からの祝意」を表した。自身も43歳になったが、成人式の記憶がなく、「なるべく短く話を」と始め、成人の節目にあまり重きを置かず、友人との再会の感激に先んずるのは、「決して誤ったことでも間違ったことでもない」と肯定した。

成人になっても世の中の役に立つにはまだまだ未熟で幼く、はたちの自分も同様。しかし、「ここからが勝負」。「これからの10年間、20歳代をとにかく前向きにすべてを貪欲に生き抜いて」と求め、これからすばらしい人生を歩めるかどうかは、「20代にかかっていると言っても過言ではない」と大切な時間であることを強調し、「どうか貪欲にさまざまなことを糧に自分自身を成長させる、その大切な10年間にしてほしい」と願った。

国定市長の式辞

自分自身を成長させるのは実は簡単で、それはなんでも経験し、時間が限られているなかで本を読んで多くの人の人生を疑似体験することを勧め、「少しだけ先輩であるわたしからの皆さまがたに対する今回の門出に当たってお祝いの言葉」であり、「先輩としてのメッセージだと言うふうに受け止めていただければ」と話した。

森山昭市議会議長は祝辞で「選挙権年齢が引き下げられたことは、皆さまがたを取り巻く環境が大きく変わってきているひとつの表れ」で、「おとなとしてはどういう存在なのか、また自身はおとなとしての今後、どのような役割を果たしていきたいのかと言うことをこうした節目の行事を契機に考えていただければ」と求めた。

森山市議会議長の式辞

NHK連続テレビ小説「あさが来た」のヒロインのモデルになった広岡浅子の言葉「何でも初めから無理と思ったら、結果もそのようになります」を引用して新成人に贈った。成人するということは、より大きな自由をも手にすることであり、自身の可能性を開花させる絶好の機会でもあり、「ぜひ自分が心から成したいと思うことを見つけ、真摯（しんし）に向き合っていただきたい」と願った。

新成人を代表してふたりとも第一中学校卒業生で三条市に住む新潟医療福祉大学2年西丸香輝さん(20)と東京に住む拓殖大学2年坂田薫香さん(20)が「成人のことば」を述べた。二十歳で投票権が与えられ、「より良い社会をわたしたちの手でつくっていくためにも、この投票権にわたしたち一人ひとりの意志や願いを込めて政治に参加する」。

「成人のことば」を述べる西丸さん(左)と坂田さん

成人して自由が増え、責任が重くなり、社会の一員として節度ある行動を心がけていかなければならない。昨年は戦後70年。何気ない生活を当たり前に思っているが、世界に目を向ければ紛争やテロなど緊迫した現状があり、「新成人となったわたしたちにとって。日本の未来はもはや人ごとではない」。「日々の何気ないことにありがたみを感じながら。より広い視野で社会を見詰め、自分なりの志をもつことが、わたしたちに必要なこと」とした。

ことしの成人式のテーマは「二十歳（はたち）のルーティン始めよう」。昨年話題となったラグビー日本男子代表の五郎丸歩選手が行うルーティーンと重ね合わせ、「これから社会に出てさまざまな経験をするなかで、たくさんのことを学び、自分なりのルーティン、生き方というものを見つけていこうという意味」を込めてあり、「この式は旧友たちと集い、昔を懐かしみながらも今との違いを発見し、これからの未来への原動力にしていく、いわば出発点」。

市民憲章唱和

落語の柳家小満んの言葉「富士山はいきなり高いんじゃなくて、裾野が広いから高いんだよね」を引用。「人は多くのつらいことや楽しいことを自ら経験して初めて見晴らしの良い高みに出られるようになるということを教えてくれる味わい深い言葉とし、「そんな言葉を胸に置き、社会人として明るく希望に満ちた未来をわたしたちの手で築き上げていくため力強く歩んでいく」と誓った。閉式後はアトラクションで景品付きの○×クイズ、中学校ごとに記念撮影を行った。

三条市は毎年、「春分の日」に成人式を行っている。燕市は第3日曜が恒例で、ことしはいずれも20日に当たったが、三条市は「春分の日」の振替休日の翌21日の開催となった。三条の最高気温は平年並みの9.3度で時々、晴れ間も広がった。

国歌斉唱

燕市成人式では飲酒している新成人もいたが、三条市成人式はそんな新成人もおらず、粛々と進行した。日程が終わってもロビーにたむろして昔話に話が咲き、なかなか帰ろうとしないのは例年通りだったが、そこでのようすも燕市成人式ほどはじけたようすはなく、全般におとなしい印象だった。

保護者の割合は燕市より多いようだった。「子どもが写真を撮らせてくれない」、「記念に一緒に写真に写りたいのに」とぼやく親も多かったが、はたちを迎えたわが子を前に目尻を下げっぱなしだった。国定市長の式辞の全文は次の通り。

国定市長の式辞　全文

皆さん、こんにちは。今ほどご紹介いただきました三条市長の国定であります。本日は今年度、めでたく成人を迎えられました皆さまがたが一堂に会しての成人式ということであります。まずもってこのたび、めでたく成人を迎えられました皆さまに心からお祝いを申し上げたいと思います。

そしてまた、ことしの成人式は例年にも増して本当に多くの親御さんからご参加をいただいているところでございます。新しい門出を迎えられましたお子様の成長をこれまで陰日向に支えられ、無事に育ててこられました皆さまがたに心からの敬意と感謝を申し上げ、あらためてこのすばらしい輝かしい門出に心からの祝意を表したいと思います。

さて、私も早いものでことしで43歳になってしまいました。皆さんがきょう、こうやって座られているように、わたしもかつて成人式にのぞんだことがあります。でも今、何度、思い返しても当時の記憶がまったく蘇ることはありません。まあ相当、無邪気にはしゃいで、無邪気に遊んで、まったくおとなの話を聞いていなかったんだというふうに素直に当時の記憶を思い起こしております。ですからわたしも、きょうはなるべく短く話をしたいと思います。

おそらく皆さんも大部分も同じような気持ちで、きょうの成人式にのぞんでいると思います。成人という節目にあまり重きを置かずに久々に友人と会うことの楽しさであったり、懐かしさであったり、こういうことの方がむしろ先んじているんだと思います。そしてそれは決して誤ったことでも間違ったことでもないと思います。人間というのはそういうものだからです。でも、ちょっとだけ先輩のわたしからあえて申し上げたいと思います。

皆さんは確かに今年度、成人を迎えられました。でも、世の中のために立つにはまだまだ未熟で、まだまだ幼い存在です。少なくともわたし自身の人生に照らし合わせると、はたちの当時の自分はとっても恥ずかしいくらいに未熟で粗末な存在でした。

でも、皆さん、ここからが勝負です。すべてこれからの10年間、20歳代をとにかく前向きにすべてを貪欲に生き抜いてみてください。皆さんがこれから先、すばらしい人生を歩めるか否か、それは皆さんの20代にかかっていると言っても過言ではありません。

皆さんには無限の未来が開かれております。でも同時に皆さんの手によってその無限の可能性をいとも簡単に握りつぶすこともできると思っています。ですから皆さんの可能性を無限であり続けていくためにもこの20代の10年間、どうか貪欲にさまざまなことを糧に自分自身を成長させる、その大切な10年間にしてほしいと思います。

自分自身を成長させること。それは難しいようで私は実は簡単だと思っています。それは何か。とにかく経験することです。悪いことでもいいんです。法律にさえひっかからなければ。とにかくいろんな経験をしてみてください。

でも、私がそうであるように皆さんも一個人にしか過ぎません。皆さんに与えられている経験の度合いというのは、1日24時間、1年365日しか与えられていません。そのなかで自分自身を成長していくためには、多くの人々の人生を疑似体験をし、それがあたかも自分の人生であるかのように貪欲に取り組むことが重要です。

そのためには良き友をこれから先も探し続け、追い求めてください。そして良き立派なおとな、立派な知り合いをひとりでも多く獲得し、その人たちから有益な言葉を聞いてください。そして、空いた時間があれば多くの本を読んでみてください。

皆さんの人生はたった1回こっきりです。でも多くの人たちにふれあい、多くの本を通じて学び合うことによって、皆さんの人生はより豊かでより深いものになっていくことに間違いはない。それは少しだけ先輩であるわたしからの皆さまがたに対する今回の門出に当たってのお祝いの言葉と言うものだと思っておりますし、良き先輩としての、良き先輩かどうかわかりませんけれども、先輩としてのメッセージだというふうに受け止めていただければというふうに思っております。

最後になりますが皆さん一人ひとりのすばらしい門出をあらためてご祈念を申し上げますとともに、このすばらしい成人式挙行に当たりまして大変ご尽力をいただきました実行委員会の皆さまがた、そして支えられた多くの関係される皆さまがたに心からの敬意と感謝を合わせて申し述べ、式辞とさせていただきます。

平成28年3月21日　三条市長　国定勇人