三条市議会で市議の「おかまに行政支援は不要」といった発言が問題になった三条市まちなか交流広場「ステージえんがわ」での燕三条エフエム放送による公開生放送が1日、始まった。
三条市は2016年度予算案で燕三条エフエム放送への公開生放送に伴う番組制作委託料約286万円を計上した。そのことについて3月定例会の市民福祉常任委員会で、西川重則市議が番組担当のパーソナリティー「さとちん」さんについて「おかまと聞いている。行政が支援することはないのではないか」と述べた。その後、西川市議は発言を撤回したが、全国ニュースになるほど物議をかもした。
その市が番組を制作を委託している「つばめさんじょう系さとちん電波」の公開生放送が1日、「ステージえんがわ」で行われた。午前9時から11時までの放送で、ピーク時には100人近くのファンが集まった。
番組は毎週月曜から金曜の午前9時から11時までの放送だが、昨年度から金曜だけ公開生放送を委託している。昨年度は、みんくる、三条鍛冶道場、かじまちの家と、会場を変えて行ったが、今年度はずっと「ステージえんがわ」を会場に行う。
昨年度と比べても初日に集まったファンの数などをみても、結果的に今回の一件でプラスになることはあってもマイナスにはならなかった印象。この日は新年度のスタートのこともあり、さとちんさんはふだんはカジュアルな服装のところ、ダークスーツで出演した。
問題にはほとんどふれず、最後に同姓の西川哲司元市議が歌う曲『三条慕情』をかけるときに、「三条市議、西川!」と叫び、「てっちゃん!」、「あの人ならいいわ」と仕込んでいたネタで笑いに変えていた。最後は来場したファンと記念撮影して盛り上がった。
放送を終わってさとちんさんは「こんなに大勢のリスナーさんが足を運んでくれてうれしかった。こういった活動を通してお年寄りが歩いて会場に来てくれ、青春時代の懐かしい歌を歌い、勇気をもってもらいたい」と話した。
見附市出身で本名も年齢も性別も非公開。燕三条エフエム放送で開局当初からパーソナリティーを務め、ことしで19年目。西川市議の発言には「この時代にそういう言い方をする人がいるのはびっくり。考えられない。ましてや、まる1年、そういった活動(事業委託を受けた公開生放送)をしてきているのに」と戸惑う。
しかし、「責めるつもりはない。大きな経験になった」とすでに気持ちを切り替えている。「メッセージやファクスでもらった意見の99.9%が応援するもので、大勢の人が関心をもっていることがわかった」と逆に勇気をもらう結果となり、これを機に「LGBTなどに関する取り組みがあれば積極的に参加してみたい」と前向きにとらえており、西川市議と直接、対話する機会の実現も期待している。