栃木出身で新潟大学大学院を修了、燕市に移住して社会人生活をスタート～鉄道ファンの今井翼さん(24) (2016.4.5)

栃木県出身で新潟大学学友会鉄道研究部の部長も務めた今井翼さん(24)。新潟市南区月潟にある旧新潟交通電車線の車両と旧月潟駅の保存活動を行う「かぼちゃ電車保存会」の会員だ。今春、同大学院を修了して長岡市内の企業に就職し、燕市に移住して社会人生活をスタートした。

燕市に移住して社会人生活をスタートする今井さん、かぼちゃ電車を保存する旧月潟駅で

生まれたのは、栃木県河内郡上三川町。宇都宮市の南側に隣接する。山口県出身の父は、信号機などを製造する大企業で働く。父はSLブーム世代の鉄道ファン。その血を受け継いで英才教育を受け、気が付けば鉄道ファンになっていたので、いつから鉄道が好きになったのかも覚えていない。

小学校1年生のときに山口県から東京まで、ひとりで客車を使用した寝台列車「ブルートレイン」に乗ったほど。父に連れられて各地へ出掛けた。やはり小学校1年生のころに、北海道へ行くついでに加茂市から五泉市まで走っていた蒲原鉄道、旧新潟交通電車線で現役の“かぼちゃ電車”が走っていたことをうっすらと覚えている。

高校まで地元で過ごし、大学は東日本で国立の総合大学を受験し、新潟大学工学部機械システム工学科へ進学。新潟はブルートレインの夜行急行列車「きたぐに」が走っていたことも今井さんにとってはプラスポイントだった。都会過ぎるのも好きではない。「東京のど真ん中には住みたくなかった」。卒業すると同大学院自然科学研究科材料生産システム専攻に進んだ。

大学では当然、鉄道研究部に入部。2年生の秋から3年生の秋まで部長を務めた。2012年に上越新幹線の開業30周年記念特別企画の一環で、燕三条駅観光物産センター「燕三条 Wing」で鉄道研究部として鉄道関連の展示や鉄道模型運転会を行った。鉄道研究部にとってもちょうど30周年だった。

翌年にも燕市産業史料館で「捧武写真展」にあわせて鉄道模型と鉄道玩具の走行会を行った。それまで鉄道研究部の活動はほぼ内部で完結していたが、積極的に外へ出て、開かれた部に方向を変えたこともあって部員も増え、入部当初は10人だった部員が今では30人に膨らんだ。かぼちゃ電車保存会は、1年生の夏から先輩に誘われて参加し、昨年から正式に会員になっている。

一方、大学時代では音楽サークルにも所属するジャズ・ベーシスト。同じサークルで同期の新潟市南区に住む彼女と付き合う。「リア充ですから」とにっこり。以前は栃木県を中心に就職を考えていたが、交際を続けるためにも県内の下越、中越あたりの企業を対象に就職活動を行い、長岡市の工作機械メーカーに就職が決まった。

長男で、3歳下の妹とふたりきょうだい。両親は「何でも好きにしたらいいと、小さいころから割と放任だった」と言う。「家を守ってほしいとかはなかった。父だって生まれた山口県から全然、違うところで暮らしてるし」。就職先についても父は「東日本くらいだったらいいんじゃないの」で、まったく抵抗はなかった。

彼女も今春、燕市内の大手企業に就職が決まった。大学生になってから新潟大学の近くにアパートを借りていたが、就職を機にふたりで住もうと、通勤のことも考えて燕市内のアパートに引っ越し、すでに住民票も新潟市から燕市に移した。

まったく縁のない土地ではないし、知り合いもいる。燕市のイメージは「ラーメンと労働者のまちで、電鉄の起点、町工場。来るたびにラーメンを食わされて帰るまち」と笑う。燕名物の背脂ラーメンが好きで、市内のラーメン店を開拓中だ。

故郷の上三川町は小さな町だが、となりは大都市の宇都宮。燕市周辺にも似たような感覚があり、「買い物関係は燕三条駅周辺が便利。ほどよく田舎で快適に過ごせそう」。

社会人となっても新潟での生活を続けることについて「新しく趣味の関係で人間関係をつくるのも大変なのかなと思う。音楽も近くに一緒にサークルでやってるやつがいるし」と、付き合いを継続できるのもメリットだ。

遠い将来は「彼女の家が古民家なので、いずれ改装してそこに住もうという話もある」。今は社会人として新しいライフスタイルを確立するのが第一だ。