燕市分水良寛史料館では、26日から5月22日まで同史料館で春の特別展「良寛墨宝展」を開き、越後の禅僧、良寛(1758-1831)と良寛にゆかり人たちが残した国重要文化財と新潟県有形文化財の2点ずつを含む40点近くを展示している。
同史料館のある燕市分水地区では、解良家と阿部家をはじめとして多くの人たちが良寛を支えた。その返礼に良寛は書を贈ったことから、分水地区には良寛の遺墨やゆかりのものを大切に受け継いでいる家が多い。
そもそも同史料館はそうした作品を地元から借りて順に展示する公開の場として開館。ふだんの展示は館蔵品がほとんどだが、春と秋の年2回、良寛墨宝展を開いて良寛を中心とした作品を借りて展示している。
重要文化財2点のうち1点はは、五言詩書屏風「風気稍和調」。六曲屏風に五言詩を書いたものだが、五言ではなく七語の部分もあるなど自由に書いている。もう1点は良寛釈注版本万葉集。版本万葉集に良寛が朱墨で注記を加えたもので、版本の所有者の依頼を受け、与板の三輪氏から「萬葉集略解」を借りて参照しながら注記したと考えられる。
県文化財は、1点は取っ手をつけようとして割れた鍋のふたにもったいなからと良寛が書を書き、持ち主が文字が消えないように文字の周りを彫り込んだ有名な書刻鍋蓋「心月輪」。もう1点は幼少期に良寛のひざで戯れたこともある解良家十三代の解良栄重が自ら見聞きした良寛の姿を書きつづった「良寛禅師奇話」を展示する。
ほかにも良寛の最も有力な支援者となった解良家十代の淑問が良寛とたびたび碁を打ったときの碁盤と碁笥(ごけ)、子どものころは良寛にいたずらしたり悪態をついたりした冨取芳斉の「釈迦涅槃図」、出雲崎に滞在したときに良寛と親交のあった秋田の絵師、三森九木(1782-1848)が描いた「良寛手まりの図」。
良寛の親族の山本由之、泰樹、泰世の書、良寛と親交の深かった貞心尼の書、近現代作家では三条市名誉市民の岩田正巳が描いた「良寛繍毬之図」もあり、ゴールデンウイーク中の来館にも期待している。
午前9時から午後4時半まで開館、休館日は月曜、月曜が休館なら翌日が休館。入館料はおとな300円、学生200円、小・中学生100円。問い合わせは同史料館(電話:0256-97-2428)へ。