6月5日まで長岡市栃尾美術館で日本美術刀剣保存協会長岡支部(佐藤元彦支部長・会員約45人)会員が所蔵する刀剣を展示して愛刀展「日本刀の美」が開かれており、名刀に萌える若い女性たちでにぎわっており、8日には刀剣研究家の会社役員外山登さん(78)=三条市本町6=による解説会も開かれる。
日本美術刀剣保存協会は県内に長岡と新潟の2つの支部があり、長岡支部は長岡市を中心とした愛刀家が会員。年に数回、会員が愛蔵する日本刀を持ち寄って鑑賞会を開いており、それとは別に日本刀の魅力を広く会員以外にも紹介しようと2008年から4年に1度、栃尾美術館で愛刀展を開いている。
今回は刀剣40点をはじめ、刀剣の柄(つか)や鞘(さや)に施す外装などを指す「拵(こしらえ)」22点、鉄砲5点、具足2点、刀装具30点、そのほか5点の計104点を展示。日本刀に明るくない人でもとっつきやすいように刀剣以外の展示を充実させた。
人気の名刀は、新選組の副長、土方歳三の愛刀だった兼定、織田信長や黒田官兵衛の愛刀だった長谷部国重の刀を展示。古いものでは、重要美術品に指定されている鎌倉時代の来国次(らいくにつぐ)、重要刀剣とされている同じ鎌倉時代の尻懸(しっかけ)のほか、三条出身の栗原信秀の作もある。
現代の名工の刀のなかには2013年に死去した新発田市が生んだ刀匠で人間国宝だった天田昭次の刀が貴重。日本刀の製作工程の展示もある。
室町時代から安土桃山時代の刀装具をはじめ、槍(やり)や薙刀(なぎなた)、甲冑(かっちゅう)、鉄砲などの展示もある。今回は初めて軍刀6本を展示した。生々しいこともあってこれまでは軍刀を展示しなかったが、佐藤支部長は「価値や意味がわかれば大事にして、保存しようとなる」と言い、こにれ限らず刀剣を「いろんな人に理解してほしい」と願う。
日本刀ブームとはいえ、「今まで来たいと思っていながら男の人ばかりだろうと敬遠していたが、初めて来て楽しかったと話す女性がいた」と佐藤支部長は今までにいなかったタイプの来場者に喜ぶ。
このブームは、オンラインゲーム「刀剣乱舞」で名刀をイケメン男子に擬人化して育成するシミュレーションゲームの流行から起こった。ゲームの主なユーザーは若い女性で、「刀女子」という言葉も生まれ、首都圏で開かれる日本刀の展示会では若い女性が圧倒している。
今回の展示でも刀女子が目立ち、時間をかけてじっくりと鑑賞していた。見附市から訪れた18歳の大学生と専門学校の友だちの「刀女子」は、やはりオンラインゲームで日本刀ファンになった。ひとりは平安時代の名工、鶴丸国永が好きで、ひとりは粟田口(あわたぐち)派の刀工がつくる刀剣のファンだ。
首都圏で開かれる日本刀の展示会に指をくわえているしかなかったが、「近くで見られるならぜひ見たいと思った」。「歴史や時代背景、誰の手に渡ったとかわかってくるとおもしろい」と、ものとしだけではない日本刀の魅力を話していた。
来場者も過去2回と比べても明らかに多く、3日は252人が来場した。会期中は毎週日曜の午後2時から3時まで解説会を開き、会員が順に講師を務めている。8日の講師は三条市の刀剣研究家の外山さん。最も研究している刀工が兼定で、この日はその兼定について開設する。入場料は一般300円、大学生と高校生は150円、中学生以下は無料。8日以降の解説会のスケジュール、テーマ、講師は次の通り。敬称略。