全国市長会の要請を受けて三条市は4月28日から熊本地震で被災した宇土(うと)市で家屋被害認定調査などを行う職員を順番に派遣しており、最初に派遣した職員が1週間の任務を終えて三条市に戻った。
5月31日までの5週間、1週間に1人ずつ、計5人の職員を交代で派遣している。派遣職員は、過去に中越地震や中越沖地震、東日本大震災で千葉県、長野県北部地震で十日町などで家屋被害認定にあたった当時の税務課職員から選んだ。
最初に派遣したのは土田尚彦主事(28)。4月28日から5月3日まで1週間、宇土市で被災した住宅の被害認定調査を行い、4日夜に三条に戻った。
被害認定調査は、全壊や半壊などの被害の程度を認定する調査で、この認定結果に基づいて「り災証明」が発行される。国で標準的な調査方法が定められている。
宇土市は3月31日で人口37,781人、14,902世帯。土田主事は、宇土市の職員2人と3人1組で調査にあたり、被災した住宅の傾斜や屋根、壁などの損傷の状況を調べた。任期の後半は1日に30件ほど調査した。り災証明の申請は1,000件ほどあったが、宇土市職員はだんだん増えて2,000件ほどになるのではと話していた。
4月16日未明の地震で、宇土市は震度6強の揺れを観測した。ライフラインは復旧し、コンビニ店などの店舗も営業しているが、6日現在、市内11カ所に避難所が開設されている。
土田主事によると、県道や国道など主要道路から見た感じでは、建物への被害は点々としていて、それほど多くないと感じたが、調査のために市内に入ると、見るからに傾いている住宅や、基礎からひびが入ったり瓦が落ちたりしている住宅があり、「被害が大きかったと痛感した」。
地震の被害で庁舎が壊れ、倒壊の恐れで立ち入り禁止となっている宇土市役所も目にした。窓口業務は、市民体育館と保健センターに場所を移して行っている。システム関係は三条市役所のように隣に別棟であったことから問題なく機能している。しかし本庁舎にある書類などは取り出すことができず、解体とあわせて取り出す方法が検討されそうだ。
余震は頻繁に発生しており、「熊本の人は震度3くらいでは驚かなくなった」と言う人もいた。土田主事も下から突き上げるような縦揺れを毎日、体感した。宿舎は宇土市から車で30分の美里町にあったが、夜に揺れて「怖い」と思ったこともあった。
今回の任務では土田主事自身が住民と直接かかわることはなかったが、調査を行った建物の住民は、「この家に住んでもいいのか」ということをとても不安に思っていると感じた。調査は被害状況を調べるもので、その判断は業者などに相談することになると思うが、早く安心できるようにと願っている。