燕市宮町、戸隠神社(星野和彦宮司)の春季例大祭が14日を宵宮、15日に本祭と行われるのに向けて、万灯を繰り出す木場小路万灯組と横町万灯組の2つの万灯組は毎晩、練習を重ねて踊りやはやしの完成度を高めている。
万灯は縦横約3メートルの大きな台車の中央に灯ろうを載せ、そのてっぺんから色とりどりの紙で作る花で飾った数十本のタケをしだれのように垂らす。若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上では太鼓や笛で祭りばやしを演奏し、それにあわせて「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。
見物客のいちばんのお目当てが、春祭りのアイドル的な存在の小学生の女の子の踊り子12人。木場小路万灯組は「お玉さん」と呼ぶ。若連中が歌う「伊勢音頭」にあわせて門付けなどを行う。
木場小路万灯組は戸隠神社のある宮町の万灯組で、昔の通りの名前「木場小路」がその名の由来。その万灯組は1812年ころの発祥とされる。お玉さんの練習はそれ以前から行っているが、全体練習は8日から“宿”と呼ぶ戸隠神社裏の集会所が会場。お玉さんは12人の小学生だ。
若連中の総代は、ことしで5年目の会社員小林健夫さん(40)=水道町4=。一昨年までは2人体制だったが、昨年からひとりに。「昨年は皆さんの協力のおかげでいい万灯が出せた」と小林さん。「ことしも無事に皆さんから喜んでもらえるような、感動してもらえるような万灯にしたい」と言う。
横町万灯組はその名の通りかつての「横町」が出す万灯。木場小路万灯組より何年か遅れて始まったと言われる。当初は上横町、下横町、中横町が順番に横町の万灯を出していたので、3年に1度しか順番が回ってこなかった。40年ほど前から合同で行っているが、今も中央通1、中央通2、中央通3の3つの班に分かれて取り組んでいるところに名残がある。
9日から第一生命燕ビル1階の駐車場で毎晩、練習している。踊り子は同じく小学生12人。木場小路万灯組はお玉さん以外は男性だけだが、横町万灯組は女性も参加できる。踊り子を卒業した中学生や高校生が笛を手にふらっと練習会場を訪れてはやしに参加する。
総代は毎年、交代し、ことしは研磨職人遠藤英作さん(45)=白山町3=。万灯に参加してことしでちょうど20年になった。「マイペースでプレッシャーに負けないで務めたい」と遠藤さん。「いいスタッフがいるので、当日は楽しんで皆さんの思い出に残る万灯にしたい」と願っている。